サケの考現学08 スリーエフ「銀鮭」125円

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 日野市豊田駅前にもコンビニがあって、ときどき利用している。たぶん傘を買ってしまった回数の最大はここである。でもここが「スリーエフ」という名前であることを初めて知ったのである。だいたいコンビニに入っても店名のことなどまったく興味の対象ではなく「便利だから入る」すなわちまさしく「コンビニエンス」な使い方をしているということだ。

 ここで面白いものを見つけたのだ。そのお握りが、ずばり「銀鮭」、そして原材料も「銀鮭」とある。

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 しかしこの表示の仕方、だれが考えたんだろう漢字である。コンビニのお握りを買い裏側を見るようになって気がついたことだが、原材料表示の指導をするにプロは存在しないようだ。我がサイトを見てもらうとわかるのだが、標準和名は常に「カタカナ」であり通称、商品名は原則「」でくくる。もしくは漢字か平仮名書きなのだ。すなわちこれだけで標準和名か通称か商品名かが明確にわかる。それなのにコンビニの表示はなんなんだ「責任者出てこい!」。
 でもまあ原材料「焼鮭」とか「鮭類」よりはましなのである。でもね、この銀鮭は養殖なんだろうか? 天然だろうか? 国産だろうか? 輸入だろうか? さっぱりわからん。消費者はこんなところに注意した方がいい。
 近年、ギンザケというと天然だとアラスカかロシア産である。でも非常に量は少ない。そこからするとチリからの養殖ギンザケの多くは日本に来ているのだ。その量たるや凄まじい。2006年で72326トン。ちなみに国産サケの年間漁獲量が25万トン前後だからギンザケだけで3分の1にもあたる。しかもこの多くが塩水に漬けられて塩鮭となっている。と言うことでチリ産の養殖ギンザケが原料ということか?
 ちなみに我が国ではギンザケにタイセイヨウサケ約26000トン、サーモントラウトなどを足すと175000トン前後になる。
 先に国産のサケの漁獲量が25万トン前後と書いたが、ここから輸出量を引くと19万トン前後となる。しかもチリなどからの輸入ギンザケは“はらわた”も頭も落とされ、ときにフィレでの換算である。どれだけ日本人が養殖のサケ類を食べているかがわかろうものだ。だからこの現状を食べている側にも教えなければならない。
 しかるに今回の「銀鮭」を販売するスリーエフも埼玉の「トオカツフーズ」も表示は「銀鮭」だけとは嘆かわしい。もっとコンビニ業界も良識を持って食べ物を売って欲しいものだ。

 と言うことで、いろいろ思い、そして調べた後で食べてみた「銀鮭」を……。これ味わいとしてはがっかりだな。セブンイレブンやam-pmが優秀すぎるのだろうか? 平凡な味わいだし、中身の銀鮭(塩水につけて作った塩鮭だろう)が少なすぎる。脂があるか、風味があるかなど感じないままに喉の奥に消えてしまった。早食いすぎたのかな。また合成保存料や添加物はまったく使われていないようだ。その点では偉い!

 最後にコンビニで鮭おにぎりばっかり買うようになって考えた。ひょっとしたら切り身や丸など市場や魚屋、スーパーなどで取り扱うサケ類よりもコンビニなどで取り扱うものの方が量的に大きくなって来ているのではないか? これはどうやって調べたらいいんだろうね。

参考資料/水産庁「水産物輸出対策の現状と課題」、日刊シーフーズ・ニュース「2006年12月サケマス輸入貿易統計」

スリーエフ
http://www.three-f.co.jp/
トウカツフーズ 埼玉県川口市元郷4の5の1


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このページは、管理人が2007年2月11日 10:04に書いたブログ記事です。

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