アブラツノザメの腹す(腹身)煮こごり

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 八王子綜合卸売センター『高野水産』に相馬市原釜の八巻水産から
「なんだこれ、おおい、なんだろうな? “はらす”って書いてあるぞ」
 といった代物がとどいた。どうも砂刷り、すなわちはらわたを包み込んでいる薄い部分であるようだ。
「なんだか白いぞうきんみたいだな」
 立川で居酒屋をやっている『太鼓』さんが、手に持ってひらひらさせている。どこか楽しそうだ。この方、こうやっていろいろネタ探しをするのが好きなのである。
 そしてこの日は八巻水産からアブラツノザメのむき身も並ぶ。

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福島県相馬市原釜港底引き網で揚がったアブラツノザメを港でむいたもの

「あ、これはアブラツノザメの腹身だね。これはうまそうだ」
 と言うと高野社長が「そうだ」と言いながら少し分けてくれる。
「どうやって料理すればいいのかね」
『太鼓』さんが山形なまりで聞いてくる。
「普通は煮つけだね。きっといい煮こごりができそうだし」
「唐揚げはどうかな」
 こちらは日野市豊田駅南口の居酒屋「うろこ」さん。
「クセがないからね。唐揚げ、軽く干して焼くなんていいんじゃない」

 アブラツノザメは世界中の寒帯、そして温帯域の深い場所に生息している。一昔前まではたくさんとれて宮城県の笹蒲鉾の原料となったり、また高級な練り物原料ともなっていた。また大型のものは、むき鮫として現在でも高く取り引きされてもいるのだ。
●詳しくは青森の「田向商店」のページへ
http://www.tamukaisyoten.co.jp/

 ボクはこれを素直に煮つけにする。そして流し缶に入れて煮こごりを作る。
 煮こごりにする以前に煮つけのうまいのにビックリした。身が柔らかいのにしっかりしているというか、適度な弾力性を持っている。まるで良くできた練り物のようでもあるがしっかり繊維質を感じる。これが噛みしめるとすぐにほぐれ砕けてくれる。その上品な脂分と旨味もたまらない。
 そして冷蔵庫で冷やすとこれも見事な煮こごりが出来上がった。その味わいは筆舌に尽くしがたい。なによりも煮こごりに充分すぎるくらいにアブラツノザメの旨味が染み出している。
「煮つけを食べ過ぎるんじゃなかった」
 後悔していると太郎が白いご飯にのせている。のせたご飯との接点はもう溶け始めて汁になっていく、そこをかき込む。そしてまた煮こごりをのせて、またのせて。
 見ている間に煮こごりはなくなっていくのだ。どうも煮こごりのうまさの真価は酒の肴よりも、ご飯にのせて発揮されるようだ。

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 さて、このアブラツノザメの腹身、また来週も入荷してくるのだろうか? 火曜日が待ち遠しいな。

市場魚貝類図鑑のアブラツノザメへ
http://www.zukan-bouz.com/sameei/tunozame/aburatunozame.html


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コメント(2)

連続投稿失礼いたします。
アブラツノザメのハラスの食べ方です。
これ美味しいですから試してください。
ハラスを一口大に切ります。
軽く塩を振っておきます。
(振り塩でなく醤油に漬け込んででもいいです)
鍋に水と長ネギの青い部分を入れて煮立たせます。
ハラスを入れて弱火で沸騰させないように15分ほど煮込みます。アクはとってください。
醤油を適当量(あんまりいらない)味を確認し、刻み葱をちらすとお吸い物ができます。
サメから出る出汁と醤油だけですが上品なお吸い物になります。
とっても美味しいですよ。

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田向さん、アブラツノザメのハラスはうまいですね。味わいが上品なのに旨味に奥行きがある。こんどは吸い物、焼き物などに挑戦してみます。これはマンボウの腸(略して「まんちょう」)以来の衝撃です。

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このページは、管理人が2007年2月11日 08:02に書いたブログ記事です。

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