おふたりに霞ヶ浦の魚貝類、漁のことを聞いていく。
まずは今日の漁の話から。
霞ヶ浦よりの松田さんの張り網もやはり不漁であったという。
「小野川と霞ヶ浦ではとれる魚が違いますか?
松田さんは少し考えて
「違うちゅうか、小野川の方が数が入るだな」
お二人に聞くと、やはり困っているのはオオタナゴとアメリカナマズが増えたこと。それに反してフナが減ってしまったのだという。
水揚げして選別したもの。半分以上がオオタナゴ。モツゴやアユ、ワカサギは売るほどはない
「それとねこの護岸がだめだべ。できたらもっと斜めに作って欲しかっただな。そうすっと葦とか木とか草が生えるだろ」
確かに、この垂直に切り立ったような護岸では植物が進出できない。また護岸に沿ってゴミがたまる。とうぜんそれが腐敗して水中の酸素を消費してしまうのだ。国は3年前のコイヘルペス、イケチョウガイなどの死滅をどう考えているのだろう。その結論が霞ヶ浦の汚染した排水を利根川に流し込むというものらしい。でもただでさえ河口堰によって壊滅的な被害を受けた利根川の最後の息の根を止めることにならないだろうか? とにかく今、霞ヶ浦をキレイにするなら、この護岸を生物に優しいものに変えるべきだ。また我々都民はこの霞ヶ浦の水を消費しているという責任をしっかり認識すべきである。すなわちこの国の人々は今、自然に優しい暮らしに移行する必要がある。
また河口堰の運用でももっと長い時間開けておくことは出来ないのだろうか? ヌマチチブが減っているのは明らかに河口堰との関連だろう。また今年は「はね(スズキの稚魚)」が多いという。これはどうしてだろう?
桜川村古渡での漁は春夏秋冬、常に何かしらとれるのだという。なかでも漁の中心はワカサギとウナギ。他にはエビ類がくる。
まだウナギの水揚げは少ない。そのため、ある程度ためてから出荷する
「今年は稚魚(ワカサギ)が多いべから、冬はいいだろう」
「そうさね。それと雷魚(カムルチー)が増えてきたね」
カムルチーは何と言っても洗いが最高だという。
「洗い以外でもバター焼きだって、煮つけたってなんでもうまいもんだべ」
と太い眉毛を動かしながら松田さんが語る。寄生虫の心配があるでしょう? と聞くと諸岡さん、
「そんなの大丈夫。ワシさ、もう40年以上食べてるだね。でもここまでいっぺんも当たったことない」
「そうだな、あれは病気なんかで弱った人だけがやられるんだ」
注/カムルチーは有棘顎口虫の宿主であり、生食は危険である。有棘顎口虫は体内にはいると腸壁を破り肝臓などに移行、また体内を移動する。このとき皮膚が腫れたり、かゆみを感じたりする。またときに脊椎、脳などに入ることもあり死の危険性がある
「フナはどのように調理して食べてます?」
「この辺りじゃ、だいたい煮つけだね」
「洗いなんかにはしないんですか」
「まあ普通はしないな。洗いはコイはするな」
松田さんも諸岡さんも刺身、洗いはコイではするがフナは煮つけ専門だという。
「諸岡さん、『ごろ(ウキゴリ、ヌマチチブ、アシシロハゼなどの総称)』でも佃煮になるのとならないのとあるって言いましたよね」
「そうだ。ウキゴリは鱗がないだ。すっと味が入っていかない。だから『たっとう煮』っていうのにするだな」
佃煮は甘辛い味で魚の身に味が染みこむくらいに煮つけてしまうのに対して『たっとう煮』はほんの短い時間、醤油で煮る。
「さっと煮るから、たっとう煮っていうだよ」
6月になると水揚げはエビ類が中心となる。
「エビはね。潰して汁にするし、佃煮にもすっね。後は唐揚げとか、ただみそ汁にいれたりもするし」
諸岡の奥さんが教えてくれる。奥さんは、席を外して奥に消えてしまう。
「エビはね。昔は“ささびたし(ササなどを束ねて沈めておき、そこに集まったエビなどをすくう)”や“たる(カゴ)”でとっただ。でも“たる”を作る人がいなくなったね」
諸岡さんも松田さんも昔は様々な漁をやってきているのだ。
「貝のことはどうでしょう。『たんかい』は食べました」
『たんかい』は「淡貝」のこと。主にカラスガイをさすようだ。
「“たんかい”はよく食べたよ。この辺りじゃ、切り干し大根と煮るだ」
諸岡さんによると昔はたくさんとれていたという。
「そう言えば堰が出来る前のシジミは黒くてね。それが最近じゃ色が違うだね」
色の黒いシジミは汽水域にいるヤマトシジミ、そして色合いの薄いのはマシジミであるらしい。
話し込んでいると奥さんが『ごろの佃煮』『エビの佃煮』『シラウオの釜揚げ』を持ってきてくれる。
「シラウオはこれがいちばんうまいべ。釜揚げって言うんだけど、塩ゆでだ。いちばんうまいのは茹でたてだ」
佃煮は思ったよりあっさりした味付けとなっている。これがお茶に合うのである。またシラウオは塩味がやや強く、
「ご飯があったら最高ですね」
これはつい口をついて出たことなのだが。
参考文献/『平成調査 新・霞ヶ浦の魚たち』霞ヶ浦市民協会
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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千葉県香取市小見川町『うなせん』のうな重
こんばんは おひさしぶりです
最近耳寄りな情報聞かせて頂けませんね
たまにはのぞいてくださいネ。
毎度お疲れさまでした割烹食材 卸の店 伸優ショップを作りました
見てくださいね
タグ見えてますね・・・http://dp00011541.shop-pro.jp これです ごめんなさい