「ご飯があったら最高ですね」
これはつい口に出てしまったのであって、「ご飯食べたいな」とお願いしたわけじゃない。でも諸岡さんの奥さんが奥に消えて、それほど経ったわけでもなく、お盆にのせられてきたのがこれなのだ。この瞬間のスーパーうれしい気持ちをなんと表現すればいいのか? わからないんだよね。言葉が出てこない。
ここにあるものは総て地元でとれたものばかり、不必要かとは思うがひとつひとつ解説する。
まずはお盆の上の列、左から。
1/エシャロット。これはらっきょうの間引き、もしくは若いものである。これはもともと農家などで食べられていたのが全国的に流通するようになったもの。目新しいものだからフランス語の「エシャロット(半結球ネギ)」の文字を当てたようだ。疲れているときには、アリインというユリ科植物に含まれる成分がよくきくのだ。
2/若アユの唐揚げ、お盆の右上の塩コショウをつけて食べる。まだアユ独特の風味はほとんどないが、香ばしくてうまい。
3/テナガエビ、スジエビの佃煮。これはエビの風味が生きていて美味。ご飯と食べると、ご飯の軟らかさと、エビの香ばしさが相まって何とも言えず豊かな気分になる。
4/冬にとれるシラウオの釜揚げ。松田さん、諸岡さんともにシラウオの釜揚げは「ほんまにうまいな」と力説するもの。少々塩が強めであるが、だからこそご飯に合う。
中列小皿左から
5/フキの佃煮。これはやや醤油がちているがそれほど塩辛くなく、フキそのものの甘味が感じられる。
6/フキの煮物。これはあっさりと炊いた物。フキの香りが強い。
下の列左から
7/貸し出している田で作られた米を炊いたご飯。茨城の水郷地帯、利根川周辺は関東屈指の米どころなのだ。
8/みそ汁。味噌は近所からいただいたものだという。豆腐、インゲン、キャベツ。思ったよりも味噌の塩分濃度が低く、香りがいい。
9/ごろ(アシシロハゼなどの)の佃煮。甘さが程良く、ややほろほろとしてうまい。これもご飯に山盛りにのせて食べたい。
これ全部をご飯をお代わりして一気に食べてしまった。実を言うと、もういっぱいご飯が欲しいな、と思ったが恥ずかしいのでよした。今考えるともういっぱい食べれば、もっと幸せだったかも知れない。
しかし川岸屋の朝ご飯はうまいのである。こんなことを思っていたら、
「昔ね NHKが取材に来たのよ」
と奥さんが笑ってる。そうか古渡あたりでは評判の料理上手であったのだ。
またこんど来たときにも、朝ご飯食べられるかな?
川岸屋 茨城県稲敷市古渡103
参考文献/『平成調査 新・霞ヶ浦の魚たち』霞ヶ浦市民協会
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2007年5月21日 改訂記 後の記事 »
千葉県銚子で「海草」を買う