5月の半ばから北海道白老の『宮森水産』から茹でたクシロエゾバイが毎日のように入荷してきている。これがまことにうまい。このクシロエゾバイ自体が関東の市場では珍しく、茹でたものは今年初めて見た。
市場で一般的に「白ばい」と呼ばれているのは日本海のエチュウバイ、カガバイ、ツバイなどである。だから「白ばい」は日本海のものといった概念が生まれる。でもこのエゾバイ科のエゾバイ属で色合い、そして貝殻の質ともに似通ったものが太平洋側でもとれていて、少ないながら入荷してくる。これが北からラウスバイ、キヌカツギバイ、クシロエゾバイ、カシマナダバイなどである。クシロエゾバイは北海道の噴火湾から東でとれるもので、太平洋側のもの全般に言えることだが入荷総量は少ないが味は抜群にいいのである。
あんまりうまいので八王子綜合卸売センター『高野水産』に積み上げられた荷から1つ、2つ、3つとついつい拾い食いしている。オマケに高野社長自らボクの隣で、つぶを食っているんだから、誰が食べてもうまいんだろうね。
今年初めて見たのも不思議だし、気になって『宮森水産』に聞いてみると「塩ゆでのつぶは昔から作っていましたよ。でも関東にはあまり出したことがなかったんです」とのこと。
またこのエゾバイ属の小振りのつぶを白老では「泥つぶ」と呼び、カゴ漁でとるのだけれど、その難点が貝殻のもろいこと。貝殻を持ち、ほんの少し力を入れるだけでモロモロと壊れてしまう。だから水揚げされたら「塩ゆで」にしてしまうんだという。
エゾバイ属は茹でたり煮たりして、この上なく美味なもの。その料理するのに、それほど腕を必要とはしないが、宮森水産の「ゆでつぶ」の旨さはなかなか真似の出来ないもの。
さて本日も2,3個とつまみ食いしてしまった。明日も入荷してくるのだろうか?
宮森水産 北海道白老郡白老町虎杖浜116
●市場魚貝類図鑑のクシロエゾバイへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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