これでいいのだろうか? 『源七』の賄い「アサリの味噌煮丼」

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 ある日、八王子魚市場内『源七』に立ち寄ると若だんなが片隅で料理している。それを眺めているのが小山のとっつぁんで、「なんだ?」と思って入っていくと電子レンジがチンとなった。とっつぁん、電子レンジから「サトウのご飯」をとりだし、古めかしいラーメン丼に入れる。すかさず若だんなアサリの味噌煮込みをかける。
 これは言うなれば、“深川丼”と言われるもののひとつだろうか?〈深川丼には、アサリを醤油味で煮た汁をかけるもの、アサリのみそ汁をかけるもの、アサリの炊き込みご飯の三型がある。まあ最後のひとつは“深川飯”と呼ぶべきかも知れない〉
 でも香りが違うぞー。そうだインスタントの味噌ラーメンの香りである。ショウガとコショウなどの入り交じった、どこか中華な香りが感じられる。

「これ、味噌ラーメンのスープだろう」
「そうだようん、わかったか?」
「じゃ、麺とか他の具はどうしたの」

 そこで煮えていたのは、味噌スープにネギとたっぷりのアサリだけ。
「捨てたに決まっているだろう」
 こんなもったいないことを言うのである。この罰当たり目。

 そんな会話をまったく無視、いい年をして小山のとっつぁんはどんどん飯をガッショグワッシとかき込んでいく。これがもの凄ーく、うまそうだ。だいたい大手メーカーの作ったインスタントラーメンには様々な工夫がなされている。当然、たった一袋の粉末スープにだって多大な労力と研究が詰まっているのだ。そこに船橋の沖合、三番瀬でとれた、今まさに旬のアサリの剥き身を投げ入れて、「まずいわけがない」。
 ご飯は二人分しかない。ここはぐっと我慢して、ひょいひょい味見すると、「やはりやはりうまい」。旨味成分の多い、味噌スープに、これまた味の濃いふっくらしたアサリが相乗効果である意味至味となっている。
 この旨さはグルメとか食通には「出来ないだろう」もので、悔しいけど、「次はボクの分も作ってね」とお願いする。

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このページは、管理人が2007年6月30日 14:02に書いたブログ記事です。

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