2007年6月17日 岡山の旅18 日生のお昼はお好み焼き

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 港から日生の駅を目差す。ヒモマキバイさんの「駅前にうまそうな穴子の店があったんです。前に寄れなかったんで今回はぜひ」というのでそのお店を探す。日生駅周辺をなんどか往復するが店が見つからない。

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 そこでボクが五十路男の決断をする。「お昼はお好み焼きだ!」。実を言うとさっき通り過ぎた坂道、店先に人形とオバチャンの立つこぢんまりしたお好み焼き屋があって、なかなか惹かれるところ大であったのだ。
 それが『安良田お好み焼店』という。まあ「お好み焼店」はいらないだろうから「安良田」としておこう。ここまで引き返して店に入るなり驚いたのだ。まるでタイムマシーンで40年以上前に旅をしたようだ。店の右手には厨房。ここでキャベツを切ったり、イカや豚肉を用意する。その前の空間が店内なのだが、これがちょうど真四角になっており、右手にお好み焼きの「焼き台」があるのだ。
 ボクの子供の頃には、この焼き台ひとつの店というのがあったのである。「みどりや」それと「しげのや」だったろうか漢字はまったく思い出せない。そこへ十円玉をいくつか握りしめ、もしくは予め大人が声をかけておいてから所謂いちばんお安いお好み焼きを食べに行くのだ。その焼き台が消失したのはどの時代からだろう。いつの間にか客席が焼きテーブルになり、作りも家具といったものになった。
 目の前にあるのは明らかに古い形のコンクリートやタイルで造った焼き台である。

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 ボクはクルマを止めるために遅れて、一足先に入ったきんのり丸さんとヒモマキバイさんはすでに注文を済ませていた。
 ヒモマキバイさんはその名も「セレブ焼き」というもの。具材には豚肉も穴子もイカも入っているというそれこそスペシャルなもの。そしてきんのり丸さんは「オム焼きそば」である。この「オム焼きそば」は関西では定番的なものである。そこにボクが加えたのが「イカ豚玉」である。これはお好み焼き研究家にしかわからないことだけど、イカと豚三枚肉というのはお好み焼き世界の3番、4番バッターなのである。
 この「安良田」のお好み焼きが最近の洗練された大阪のものとは違い素朴なものだった。工夫が足りないとも思えるが、懐かしいような、ボクなどの五十路男にはうれしいものだ。また「セレブ焼き」というのは具材はセレブ(この言葉は好きではないな。これを見ると一種我が国の痴呆さ加減が見えてくる)でも味わいはセレブじゃない。その言葉のセレブ並に迷走している。

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 それに対してオム焼きそばはさすがに定番的なうまさ。まあ、香ばしく焼いた卵焼きと熱い鉄板の上で焼き上げた中華麺とが合わさったのだから、子供っぽい食い物であるお好み焼きを子供っぽく味わえる。最後にイカ豚玉であるが、これが王道を行く味わいで満足度大。

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「安良田」の女将さんがしきりに「秋でしたらな」を繰り返す。日生ではカキのシーズンになると「かきおこ」という名物メニューが食べられるという。これなどカキの季節にもう一度来て食べてみたいと思う。お好み焼きという庶民の味覚とマガキ、なかなか相性がよさそうだ。
カキお好み焼きHP
http://www.geocities.jp/kakiokonomi/kakiokonomi_1.html

 三人でたっぷりお好み焼きを堪能、ヒモマキバイさんなどひとりで「お好み焼きと瓶ビール」という極楽コースを楽しむ。

 これが岡山での最後の章となる。

 午後1時近くに赤穂インターにのり、一路八王子を目差す。途中、渋滞には巻き込まれなかった。大阪か京都の間も2経路となってまったく快適至極だった。そしてもう少しで大月と言うところで小仏トンネルの定番的な渋滞にぶちあたる。意を決して大月で中央自動車道をおり、お二人にはカップ酒を飲んで頂いて中央線高尾山の駅に10時近くに到着する。車中ではいろんなことをおしゃべりした。またこの二日間のなんと濃密であったことか。こんな旅がまた出来るとうれしいのだが。

 追伸。
 木更津でカイヤドリウミグモが大発生して、きんのり丸さんたちアサリ漁師が危機的な状態に陥っている。監督官庁である、農水省をはじめ、なんとか打つ手はないのだろうか? 若き安倍政権も腕の見せ所だと思うのだけど。また多くの方に木更津での現状を知って欲しいものである。


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俺ってやっぱツイてる(社長ブログ) - 職人さんとの出会い2 (2007年8月12日 22:01)

↑このオヤジ、かなりの頑固者ですがなかなかの技術の持ち主なんですd(^ー゜*) 続きを読む

コメント(2)

1泊3日のマッハ旅行にしてこの長い長い旅日記 メモを取る訳でもないのにぼうずさんの頭はどうなっているのでしょう まさに魚貝類界の小沢昭一ですね 目のつけどころと切り口は暫し考えさせられました 徳島へはどうぞお気をつけて。

きんのり丸さんたちのあさり漁 心配ですが何もできません 一刻も早く元の盤州干潟に戻る事を祈るばかりです 

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武内さんが小沢昭一ファンだとは意外ですね。また親近感を持ってしまいます。私この小沢昭一に国民栄誉大衆賞でも差し上げたい。
またもしまた岡山に行けるなら次回は倉敷の市場にも行きたいですね。

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このページは、管理人が2007年7月11日 09:09に書いたブログ記事です。

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