境港からハツメがたっぷり入荷してきている。ハツメはフサカサゴ科メバル属の魚でメバルやウスメバル(沖めばる)と同属なのだが、なかでももっとも値段的評価が低い。これはウスメバルなどと比べて水っぽいというのか身が柔らかく鮮度が落ちやすいためだ。味わいが低い評価を生んでいるわけではない。塩焼き、煮つけなどにすると高級魚となってしまったメバル、ウスメバルに決して引けを取らない。
「これは安すぎるじゃないか」と呟くと仲卸の社長が「この辺り(多摩地区)じゃハツメを知らんのよ。どうしてこの値段で売れねーのかな」と泣くのだ。
安いと言うことでは漁師さんにはまことに申し訳ない。でも子だくさん、貧乏暮らしには、これほどありがたい魚というのも、そうあるものではない。見つけたらたっぷり買い込むことにしている。
持ち帰ったらまずは手早く水洗い、身に切れ目を入れて振り塩をする。これを最低でも一時間は置いてから焼くのである。この多すぎる水分をしっかり皮下から追い出すのがコツのコツ。焼くのはとても簡単。火加減も適当なら、火の通りも早い。残ったものは3,4日かけて焼いて食べるといい。日に日にうまくなるといった喜ばしい一品となる。
味わいの中心にあるのは皮目の香ばしさだろう。その真下の白身にすら風味がある、そして旨味が強い。これほど焼き魚にしてうまい魚もそうあるものではない。
最近では魚屋などでも塩焼きにした魚が売れているという。買い求めてきて「自宅でチン」、今ではこれも「自宅で焼く」というよりも「普通」の光景かも知れない。そんな焼き置いて、また温めるというのにもクセのない風味が長続きするハツメはもってこいだろう。
市場魚貝類図鑑のハツメへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru/hatume.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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新いか1匹1400円也