エゾバイ(磯つぶ)を久しぶりに煮る。煮てうまい巻き貝の多くがエゾバイ科であり、エゾバイ属である。ここには「灯台つぶ」と言われるヒモマキバイ、オオカラフトバイ、シライトマキバイ。「磯つぶ」のエゾバイ。「白ばい」と呼ばれることの多いエチュウバイ、ツバイなどがある。そのなかにあって美味である上に入荷量も多いということでエゾバイは煮るつぶの代表的なものとなっている。
煮方はいろいろある。なかでも最近お気に入りなのが「源七風」だ。繰り返しになるが「源七」は千葉県船橋の貝問屋であり、そして八王子に店を持つ。だから八王子に居ながらにして船橋の貝を中心とした食文化を知ることができるのだ。
エゾバイの産地は北海道噴火湾から樽前、厚岸、釧路などである。「源七」ではこれを甘辛くたきあげる。たぶん船橋で「にし(アカニシ)」を煮るときと同じ味つけなのだろう。
作り方は酒、砂糖、醤油をある程度まで煮詰め、甘辛くややとろみがついたところにエゾバイを放り込んで数分で一気に煮上げるというもの。文字にするとまことに簡単至極だ。でもどれくらいの時間で火を止めるのかなど、やってみると難易度の高さがわかるはずである。
短時間で煮るせいか身が硬くならず、エゾバイ自体が持つ甘さに地の甘辛さが加わって身を取り出すのに楊枝を使いながら、もどかしく感じるほどである。
台風シーズンで市場に魚貝類がほとんどなくてもエゾバイだけはある、ということが多々ある。そんなときでも「磯つぶ」はあまり値段が高騰しない。とすると、荒天のときにはエゾバイを食え、というのも賢い選択だ。
市場魚貝類図鑑のエゾバイへ
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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2007年7月30日、1匹10グラム前後の新子 後の記事 »
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