北海道や東北で「つぶ」と呼ばれるものに2系統ある。ひとつはエゾバイ属であり、もうひとつはエゾボラ属である。標準和名でみるとエゾバイ属には最後に「バイ」がつくし、エゾボラ属には「ボラ」がつく、わかりやすいのだが、現実はそんなにあまくない。
例えば「バイ」のシライトマキバイなど北海道では「灯台つぶ」だし、同じくクシロエゾバイなど「泥つぶ」だったりする。
面倒なので「バイ」を「煮つぶ」、「ボラ」を「刺身つぶ」と呼んだらいいとボクなど勝手に思っている。その刺身つぶの代表選手が真つぶ(エゾボラ)であり、脇役として何種類か主役回りに並んでいる。この脇役を主役Aに対して市場ではBつぶという。さて脇役だから主役よりも値は安い。確かに味もいちだん落ちる。そのBつぶの中でももっともB級に思えるのがアツエゾボラなのだ。この「アツ」はそのまま「厚みが厚い」、貝殻が厚いと言うこと。だから歩留まりが悪い。その上、身がやや黄味がかっているのだ。
こんな体たらくだから、なかなか表舞台には出てこない。やっと買われたかと思ったら「安い宴会だからね」とか、「真つぶがないかなね」なんて言われる始末。
さて、ボクの回りくどい文字の羅列にそろそろ焦れてきたのだと思う。じゃあ、なぜ今回の主役がアツエゾボラなのか? それは単純明快、うまいからだ。
確かに歩留まりが悪い、でも真つぶキロ当たり1800円に対して1000円はうれしいだろう。それに身の色合い。ボクはクリームイエローは美味しそうな色だと思っている。
このちょっと苦くて、直ぐ後に甘味がくるつぶの味が大好きなのだ。その合いの手に食うのがワタである。アツエゾボラのワタはうまいのである。だいたいねっとりと甘味がある。
ちなみに画像のもので1個95円なり。これでもお父さんの晩酌の一品にはちょうどいい大きさだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アツエゾボラへ
http://www.zukan-bouz.com/makigai/ezobai/ezobora/atuezobora.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
2007年9月16日 改訂記 後の記事 »
2007年9月17日(敬老の日)の沼津魚市場便り01