島根県の荷について

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 さて、最近よく見かけるのが島根県からのマアジの荷である。さて、その安値にも驚くのだが荷を見ただけではまったく島根だと思えないというのにも問題がある。

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これ島根県産というのが、ただすーっと通り過ぎる人に見えるだろうか? 紙に書いた文字は市場職員のもの

 市場のダイちゃんが
「ちゃんと“JFしまね”と書いてあるでしょう」
 と言うのだが、五十路のボクにはよくよく見ないとわからない。
 実を言うとこの荷の説明書きも伝票を見て書いているわけで、並べるときにもこの日の富山ものとは「箱を見て産地がわからないのが島根、横にわかりやすく書いているのが富山」ということで運んできているわけだ。最近、この白い発泡に浮き彫り文字で、というのが多いのである。でもこの「浮き彫り」というのが見えない。例えば築地の荷受けを通り抜けても、まったく気がつかないのである。もしもこの「浮き彫り」だけで発泡の値段が高いならまったく無駄ではないだろうか?

 見本にこれもあまり上手とは言えない同じに日に来ていた富山のマアジの荷と比べてみると歴然としている。この富山産のものもあまりにデザインがヘタクソすぎる。例えば書体にしても、箱と文字のバランスにしてももしもデザイナーとして見たら噴飯ものの、考えの足りないレイアウト。でもこの稚拙な箱の文字の方が「浮き彫り」よりも目立つのだから本当に箱代が無駄である。

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富山から来た荷。これもデザイナーとしてみると「ヘタクソ」と言いたい

 ついでに行っておくと最近、仲卸で「日本海産」と書かれた文字、但し書きがある。これは箱の横にこれも目立たない浮き彫りで「日本海」と書いてあるせいだ。日本海と言えば山口県から北海道まで広いのである。なぜこんな箱を使うのか、これもワケがわからない。もしも箱の値段が高いなら、モッタイナイと言っておきたい。

 さて、文句を言っていても始まらない。もしも島根の方が見ていたなら、この箱の重要性を強調したい。築地の荷受けでもそうだが、今では鮮魚のほとんど総てが相対取引なのである。とするといちばん肝心なのは荷受け職員がいかに売りやすい荷を作るかだろう。だから箱は重要なのだ。荷受けで目立つのは確かに真横である。ここに目立つ文字でコピーをつけるのがいちばん正しいと思う。
 例えば島根なら「アジは日本海 島根」だとか、「日本海 しまね」だとか。とにかく島根と日本海が大きく目立つようにデザインする。たぶんこれだけで荷受けの競り場では一頭抜きいんでた荷となるだろう。後はパッチとラベルだけど、これは5キロばんの箱につけるには予算の点で無理だろう。

 さて、改めて富山のマアジと島根のマアジを並べて見てみるかな?


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コメント(5)

この「日本海」と書かれた箱は、主に島根、鳥取県の境港をはじめとする各漁港、兵庫県の浜坂、香住などに水揚する底曳船が船に持ち込んで漁業者が直接使っている箱です。
俗名「日本海ボックス」。
何かの都合で統一する必要があったんですかね。
多分漁業者の主張は「同じ漁場で獲ってるから」でしょう。
ただこれらの箱に入った魚は、金沢市場、福井市場に行くものが多く、後は大阪などの関西の市場に出回ります。
金沢や福井からこの箱のものが来たら、島根から兵庫のものと思って間違いないです。
ちなみに福井のものは同じ箱で、おっしゃるようにわかりにくく「越前港」と書かれています。

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さかなやおやじさん、「日本海ボックス」と言うんですか、知りませんでした。
ボク個人の意見かもわかりませんが、これから魚を売るとき、産地表示、また産地を「売り物」にしてもいいと思います。ただ「マアジ」とあるよりも「島根産マアジ」の方が良さそうに思えませんか?

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ぼうずコンニャクさん、
このヒントをこちらの現場責任者のかたに昨日伝えました。
意外というか、びっくりしておられました。
築地でのいろいろなことをお話ししたところ「今度いっしょに行ってみたいねえ」とのこと。その暁にはよろしくお願いします。
島根のマアジ、特に浜田のマアジは「どんちっちアジ」の時期:旬の初夏だけでなく、年中良い値段になってきています。他の港のアジもおいしいので評価をうけるようにしていかないといけませんね。
昨日は境港に行きました。鳥取県は実力十分の山陰産ハタハタを売り込もうとしておられます。今朝は朝どれのハタハタを見つけました。初めて刺身で食べてみますが刺身で食べられたことはありますか?

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ヤマトシジミさん、ハタハタの刺身は食べていますが、こちらで食べる限りはうまいとは思えませんでした。鮮度の問題でしょうか? むしろボクと『市場寿司 たか』ではこはだのようにしめています。
また荷のことはボクのような市場観察者や仲買、荷受けに話を聞くのがいちばんです。ボクは出荷の方法としてもっと研究の余地があると思います。
ついでに今度寿司図鑑に載せますが、エチュウバイの剥き身は素晴らしかった。寿司職人の評価も高く、もっと知られれば売れ筋商品となるでしょう。

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ぼうずコンニャクさん、書き込んだ後ではたと寿司図鑑に気づき、ハタハタの生の寿司がだめ出しされているのに気づきました。そこで買ってきたうちの半分(5ひき)は我流で締めてみました。
確か3%食塩水で数分、酢で洗って酢に漬けてとお聞きしたような・・・食塩水を5分、安直にすし酢に1時間つけてみたところ、まずまずおいしくできました。刺身もあっさり目でしたが、甘めの再仕込み醤油で食べればいける味でした。
こちらでは、朝どれ中ぶりのが5ひき¥198-で売ってます。こちらでも足が早い魚として刺身で食べるのは浜の人たちだけだそうです。
エチュウバイの寿司、特に画像が楽しみです。こちらでも寿司で出すところはわずかです。
別のトピックスですが、“隠岐の味覚 飛魚だし(あごだし)”でのイカそうめんとは・・・、今度やってみます。

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このページは、管理人が2007年9月25日 08:34に書いたブログ記事です。

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