2007年10月18日アーカイブ

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「やっぱり小泉内閣の政策は失敗だったのかな?」と思うのはその辺の街角とか、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合、八王子魚市場などの地方市場を見ると切々と感じることだ。この内閣の目差すところは行政の無駄を省き、それを庶民に還元するものだと思っていたのだ。それなのにどうだろう? 現在でも独立行政法人は膨大な数残るし、相変わらず役人は不正や不道徳なことをやらかしている。しかも一般人よりも過大な福祉、年金に守られている。当然代議士なんて存在自体悪そのものに思える。

 この政治にいちばん苦しめられている人たちの中に市場人もいる。地方公務員の不正な休暇が取りざたされている。むしろそれをやらない方が少数派だという。そこへいくと市場人の仕事始めは午前2時、3時なのである。そして午後2時になっても仕事は終わらない。公務員なんてヤカラにはきっと耐えられないのだろうけど、市場の運営自体が危機を迎えているときに市場人は耐えるしかない。

 この現状を『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんと、よく語り合う今日この頃である。

「しかしこの市場の面白さ、一般の方にわからないのかね。肉だって魚だって、食材だって、スーパーよりも数段上だろ。だいたい市場というのは下町人情溢れる場所だろうしね。育児ノイローゼの主婦なんかここにくると一発でなおっちゃうよ」(なんで育児ノイローゼが出てくるのかわからん)
「そうそう、こんなに人に優しい場所はないよね。コトヤさんそうだよね」

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コトヤさんちは市場から数十秒

 午前1時から働いているのでコトヤさん、『市場寿司 たか』の脇で一人酒盛りの最中。これがいちばんお金のかからないというのもあるが、たかさんのそばで飲みたいというのも大きな理由であるようだ。このところ午後2時近くなると『市場寿司 たか』は市場人が集まってくる。

 そこに顔を出したのが総市商事部(醤油や味噌、飲料水、ジュースなどを扱う)のカクジロウ君。
 そしてビックリするものが、登場する。
「なんだこれ! たかさーん、こんな丼あったっけ」
「あるよ。うまいもん全部のっけ、次いでに寿司飯は三人前。カクジロウスペシャルかな」
「まさか600円じゃないよね」
「600円だよ。コイツは年間契約で600円に決まったの」
「たかさん、ボクも契約したいんだけど」
「だめー」

 しかし悔しいな。ボクがどんなにお願いしても、このスペシャルはダメなのだ。だいたい普通に考えるとこれって2000円以上しないだろうか? カクジロウのバカ野郎。ボクよりうまそうなもん食うなんて100年早いよ。

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 さみしく八王子総合卸売センターの通路を通り、『カワベ』、『大商ミート』、『藤原商店』の前までくると、午後二時なのにまだ働いている。コマちゃんなんて忙しそうに肉を切っている。本当に市場での仕事は大変である。でもこの大変さを補ってあまりあるのが市場独特の人情味である。本当に市場人は優しいのだ。みんな市場においでよ! きっとささくれだった気持ちも一瞬で癒されます。これはぼうずコンニャクが保証しまーす。

市場寿司 たか
http://www.zukan-bouz.com/zkan/zkan/rink/gest.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』の店頭、しまえび4000円というのが目に吸い付いてくる。モロトゲアカエビは値段の乱高下があり、築地などでは大きいと1万円(キロ当たり)の大台を超える。大きいと23グラムから25グラムあるので1匹250円前後することになる。せめて3本は食べたいと思って、750円原価というのを飲食店で食べるといかほどになるのだろうね。『マル幸』の店頭のものはあまり大きくはない。でも八王子で4000円というのは凄い値段なのだ。
 クマゴロウに重さを量ってもらったら1本あたり70円になるという。ということは20グラムに欠けるもので、「どうしてこんなに高いんだ」と箱の中をよくみるとそのワケは直ぐに判明した。まだ生きているのだ。
 モロトゲアカエビの漁場は日本海。特に北海道西部が最大の漁場だ。そこでエビカゴで狙うのは主に、ぼたんえび(トヤマエビ)である。モロトゲアカエビは言うなれば漁の脇役なのだけど、ぼたんえび(トヤマエビ)よりうまいという評価もあるほど。
 カゴ漁であがったエビは港まで生きたまま持ち帰る。それを氷でしめて各地へ送る。この送り方に陸送と空輸があり、断然ジェット機で輸送する方が高く、そしてほとんど生きたまま関東まで来るようだ。この辺の輸送方などボクはもっと調べる必要性を感じている。例えば築地でも値の張る魚貝類はほぼ総て空輸されたものだ。

 小銭入れの中を見ると150円ある。「クマゴロウ、消費税まけろ」と会計に140円を置いて2本持ち帰る。驚いたのは撮影中にも動く、動く。シャッタースピード20分の1だとかなりぶれる。結局エビ2匹撮影するのに30回もシャッターを切ることになった。

 生きている甘エビ類(刺身用のタラバエビ科という意味合い)の入荷が最近とみに増えている。無理だと思われていた甘えび(ホッコクアカエビ)すら活けが珍しくない。でもこの活けの難点は皮が向きづらいこと。それとエビの旨味成分アデノシンモノリン酸のイノシンへの変化は、魚類などよりも早いといっても旨味成分量からすると締め(死んだもの)での入荷よりも少ないに違いない。

 まあ、活けがうまいかどうかは今年一年見つけるたびに食ってみればわかることだ。撮影後すぐに食ってみる。やはり殻は剥きづらい。剥いて取り外した足がまだ動いている。それを揚げ油に放り込んで、頭と共に素揚げにする。それを刺身、ワタ、卵とともに武内立爾さんのまな板皿に盛る。

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 やはり生での旨味は薄いようだ。ただしアミノ酸類の粘質がもたらす甘味は充分だし、食感のよさは魅力的。その上、ワタ(肝膵臓)、生殖巣の甘さにはまったく苦みがない。たった2本のモロトゲアカエビでこれほどに楽しみが得られるとは恐るべし。また、高くてもいいものなら仕入れる、クマゴロウの勇気にも称賛を与えたい。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、モロトゲアカエビへ
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八王子の市場に関しては
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ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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