羽幌産しまえび(モロトゲアカエビ)は生きている

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 八王子綜合卸売協同組合『マル幸』の店頭、しまえび4000円というのが目に吸い付いてくる。モロトゲアカエビは値段の乱高下があり、築地などでは大きいと1万円(キロ当たり)の大台を超える。大きいと23グラムから25グラムあるので1匹250円前後することになる。せめて3本は食べたいと思って、750円原価というのを飲食店で食べるといかほどになるのだろうね。『マル幸』の店頭のものはあまり大きくはない。でも八王子で4000円というのは凄い値段なのだ。
 クマゴロウに重さを量ってもらったら1本あたり70円になるという。ということは20グラムに欠けるもので、「どうしてこんなに高いんだ」と箱の中をよくみるとそのワケは直ぐに判明した。まだ生きているのだ。
 モロトゲアカエビの漁場は日本海。特に北海道西部が最大の漁場だ。そこでエビカゴで狙うのは主に、ぼたんえび(トヤマエビ)である。モロトゲアカエビは言うなれば漁の脇役なのだけど、ぼたんえび(トヤマエビ)よりうまいという評価もあるほど。
 カゴ漁であがったエビは港まで生きたまま持ち帰る。それを氷でしめて各地へ送る。この送り方に陸送と空輸があり、断然ジェット機で輸送する方が高く、そしてほとんど生きたまま関東まで来るようだ。この辺の輸送方などボクはもっと調べる必要性を感じている。例えば築地でも値の張る魚貝類はほぼ総て空輸されたものだ。

 小銭入れの中を見ると150円ある。「クマゴロウ、消費税まけろ」と会計に140円を置いて2本持ち帰る。驚いたのは撮影中にも動く、動く。シャッタースピード20分の1だとかなりぶれる。結局エビ2匹撮影するのに30回もシャッターを切ることになった。

 生きている甘エビ類(刺身用のタラバエビ科という意味合い)の入荷が最近とみに増えている。無理だと思われていた甘えび(ホッコクアカエビ)すら活けが珍しくない。でもこの活けの難点は皮が向きづらいこと。それとエビの旨味成分アデノシンモノリン酸のイノシンへの変化は、魚類などよりも早いといっても旨味成分量からすると締め(死んだもの)での入荷よりも少ないに違いない。

 まあ、活けがうまいかどうかは今年一年見つけるたびに食ってみればわかることだ。撮影後すぐに食ってみる。やはり殻は剥きづらい。剥いて取り外した足がまだ動いている。それを揚げ油に放り込んで、頭と共に素揚げにする。それを刺身、ワタ、卵とともに武内立爾さんのまな板皿に盛る。

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 やはり生での旨味は薄いようだ。ただしアミノ酸類の粘質がもたらす甘味は充分だし、食感のよさは魅力的。その上、ワタ(肝膵臓)、生殖巣の甘さにはまったく苦みがない。たった2本のモロトゲアカエビでこれほどに楽しみが得られるとは恐るべし。また、高くてもいいものなら仕入れる、クマゴロウの勇気にも称賛を与えたい。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、モロトゲアカエビへ
http://www.zukan-bouz.com/ebi/morotogeakaebizoku/morotogeebi.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


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このページは、管理人が2007年10月18日 07:55に書いたブログ記事です。

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