スルメイカというのは捨てるところがない。あえて考えても足にある吸盤の角質のリングとカラストンビくらいだろうな。とにかくスルメイカは丸ごとボクたちの胃袋に納まるわけで、その部分部分でいろんな料理に生まれ変わる。
さて、先週の活けスルメイカを卸していた『市場寿司 たか』の渡辺隆之さんがちょちょいと作ってくれたのが「ワタの醤油漬け」。スルメイカのワタというのは肝臓であって、イカの場合には吸収も栄養分の蓄積も行う重要な器官。呈味(味を感じさせる)成分がたっぷり含まれている。
たかさんが活けイカの大きなワタに「これを捨てちゃーいけないな」と言いながらくれた醤油漬けだけど、作り方はいたって簡単。ワタを醤油と酒を合わせたものに漬け込むだけ。丈夫なビニール袋にホイっと放り込んで「明後日か中二日おいて明々後日に食べな」と持たせてくれた。
週末になって、晩酌のアテにビニール袋からワタを取り出す。醤油の塩分のためにやや硬くしまったワタを2切れ、3切れと手塩皿に盛るとトロっととろけてくる。この口に含んだときに感じる味わいの複雑さは表現のしようがない。醤油と少しだけの酒だから、そんなに甘いわけがないのに甘い、そこに何種類かの渋みと、濃厚な旨味が舌のざらっとへばりついてくる。これを酒で洗う。
カツオの塩辛を酒盗というがごとく、イカワタの醤油漬けも酒が進む。週末だから一升瓶は軽く空になってしまった。当然である。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tutuika/surumeika.html
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そろそろ、唐墨作りの季節かな
イカワタの醤油漬け、冷凍庫で凍らせてルイベのようにして、夏なら冷たいビ〜ルか冷酒、涼しくなったら人肌の燗酒に。酒がすすむツマミになりますね。
海老さん、もう既に我が家の冷蔵庫に凍らせてあります。深夜にひとりで酒を飲むときに、2、3切れですかね。