市場でサヨリを買おうとすると、きっと誰かが「吉永サヨリちゃん」と言う。まあ年齢は50歳以上に限られるが吉永小百合の根強い人気を感じると共に、「小百合世代」ではないボクには着いていけない。ちなみに吉永小百合の全盛期は昭和30年代(1960年代)であり、しかも映画が主要だったはずだ。ボクがこのようなドラマや映画に興味をもったのは1970年前後からであり、絶対に「小百合世代」もしくは「小百合スト」ではない。
そして今回は続けて「秋なのにサヨリちゃんかえ?」とくる。サヨリの旬は冬から晩春までと思いこんでいる人が多いのだ。まあボク自身もそうではある。でも魚貝類を調べている限り、年中旬にかかわらず魚は食べてみる。
まあまあ、閑話休題。
今回のサヨリは八王子総合卸売センター『ケン水産』で見つけたもの。産地不明だがとにかく魚体の美しさから、5、6本買い込んだ。買い込んだとき表面がざらつき、やや硬くしまっている感じを受けて、これは脂はないに違いないと確信する。サヨリに脂というのも変だが、適度な柔らかさには当然脂の存在が関わっている。脂がある方が柔らかい。もともと脂の少ないサヨリでも旬の春には微かに脂から来る柔らかさがあり、それは手に取ると感じられるものである。
その脂のないサヨリを単に刺身にする。これがうまかったのだ。しかも小振りであり、脂もほとんど無いに等しいに関わらず。そのときサヨリのうまさはその微かな苦みと、上品ではあるが血合いからくる酸味にあるのではないかと思った。この血合いからは旨味すら感じられるのだ。
ううううーん、吉永サヨリ恐るべし。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、サヨリへ
http://www.zukan-bouz.com/fish/datu/sayori.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
エッチュウバイの甘辛煮 後の記事 »
鹿児島県の魚貝類