味のあるヤツ、ケムシカジカで三題

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 味のあるヤツだな、と思うのか? この不細工が、と思うのか? 大きく分かれる魚がいて、その最たるものがケムシカジカなんである。例えば殿山泰二とキムタク(名前を忘れた。漢字が浮かばない。ボクにとっては無価値な存在なので改めて調べない)とどっちが好きか? と聞かれると、ボクは殿山タイちゃんに手を上げるからケムシカジカが好きなのよ、なんだな。と訳のわからん枕を飛ばしてしまう。
「父ちゃん、これはゴジラだ」という我が太郎の意見もあるから、図鑑本体を見ないで予めケムシカジカの面相を想像願えると「面白いぜ」。

 さてやや北方系のカサゴ目のケムシカジカを北海道では「とうべつかじか」、東北では「おこぜ」とか「さったろう」とか無数の呼び名があるらしい。それほど存在感があるという証拠だ。でも、はっきりいって港では雑魚に近い扱いをされている。
 福島県原釜の美人のオバチャンが「こんなもの銭にならないだー」と言ってボクに投げて寄こしたこともある。「じゃあ、これまずいんですか?」と聞くと「うめーに決まってるだべ」という答えが返ってくる。足元に転がったのが見事なケムシカジカであって、ありがたく押し頂いてきたこともあったなー。

 さて福島などではケムシカジカをみそ汁に入れて、漁師さんの賄いなんかにする。港のおっかさんも「今日も肝の入ったみそ汁だー。うめーぞ」と「毎朝食べてっから、おら、美人だべ」とも言ってくれる。ちなみに本当に福島県原釜は美人揃いなのだ、これは嘘ではない。

 そのケムシカジカの産卵期は晩秋から冬にかけて。この時期たっぷり卵を抱えたメスが関東の市場に並ぶ。「待ってました」とばかりに買い込んで、醤油漬けを作る。

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 まずは卵巣の膜に切れ込みを入れて半分に割く、これをやや「アチチチチ」っというお湯に放り込んでほぐし、バラバラになった卵をよく洗う。

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卵はお湯の中でほぐす

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 これを生醤油、もしくは少々味醂を入れた地に漬け込むのだ。

 ご飯のおかずならやや甘め、酒の肴なら生醤油だけでもいい。これが卵粒の食感がよくて、潰すと旨味と甘味がある。カサゴ目の卵巣ではうまい方、上々の部類だな。

 ボクのお好みの食べ方は、この時期に出回る赤いサラダ大根をスライスして、醤油漬けの卵をのっけて食べる。意外に酒の進まないものなのは食うのに一手間というか、スライスした大根から卵粒がこぼれないように「オットット」と気を遣うせいかも知れない。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ケムシカジカへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/kajika/sonota/kemusikajika.html


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このページは、管理人が2007年11月 6日 12:57に書いたブログ記事です。

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