天ぷらネタ(種)を教えないまま食べてもらって、「あれ?」という顔つきになる。「まん天」を作ると、この怪訝そうな食べ手の反応が楽しい。
さて材料は真っ白な塊。これを手でほぐし、ペーパータオルなどに少し置いて余分な水分を除く。
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マンボウの身には包丁は無用。総て手で割く
この水分の抜き方は好みで変えて欲しい。水分を抜けば抜くほどからりと揚がるし、揚げた後、時間が経ってもべちゃっとしない。でもその分、怪しさがなくなる。
これに塩コショウして、天ぷら粉をまぶし、衣をつけて、やや高温で短時間に揚げる。今回は天ぷらだけどフリッターにしてもいい。
さて、これを食卓に置くと、外見からは材料がわからず。そして食べると、うまいんだけど、「なんだろうな」と考え込むはずだ。
「イカだ」「タコだ」「新製品の蒲鉾だ」なんて騒いでくれると、作り手としては思うつぼ。
まあじらしても仕方がないので材料を発表すると、最近入荷が増えているマンボウの身なのである。
マンボウは真っ白な身と腸と肝がセットになって入荷してくる。身はあきらかに手で割いて、肝と和えて食べるというのが漁師流、本来のやり方。でも港で食べるならいいかも知れないが陸送の途中で鮮度はかなり落ちている。残念ながら水分の多いマンボウの宿命ですな。
それとここでちょっと、うち明け話をすると、マンボウの身はいつも少しだけ売れ残る。これは肝と一対でしか買わないという人が多いためだ。だから仲買で残り物を買うと「あんた偉いね」なんて勝手に値引きしてくれたりする。これがしめたものなのだ。
市場でマンボウを見つけると、まずは腸が欲しい。これを焼き鳥風に焼くのを「まん腸焼き」と呼び、次に欲しいのが身であって、これを天ぷらにして「まん天」と呼ぶ。
この「まん天」の味わいはイカにしては軟らかい、旨味も強い。とするとエビかなというと違う。とにかく軟らかくて、食感が不思議なもので、甘味がある。高温で揚げて、衣も香ばしいのでついつい箸が延びる。
残念ながら家族がいると天ぷらでゆるり、一杯ともいきかねる。まあほんの一本だけ分けてもらって、子供達が喜ぶのを見る。まあこの五月蠅い食卓も酒の肴かもしれないなー。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マンボウへ
http://www.zukan-bouz.com/fygu/sonota/manbou.html
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尾張の「ふなみそ」を知ってますか?
マン天の揚げたては確かにおいしいですね。
書かれている通り水分が多くてすぐに食べないとベタッとしてしまうのがなんですが・・・。
ゆっくりとお酒の当てにするには、私は煮付けたものが好きです。
マンボウを適当な大きさに裂いて、なべに入れ最初はごく弱火で水分を出して、その水分で中火で煮付けます。
最後に少しのみりんとしょうゆで薄っすらと味をつけて汁っ気を身に含ませたものをお酒の当てにします。
何せマン天を揚げてくれる人がいないので、必然的にお酒のあては冷めてもOKなものになってしまうのです。
でも東京では小売にほとんどでてこないから最近食べてないな。
あ2 さん、高知では味噌でいるように煮るんだと記憶しますが、しょうゆとみりんというのも面白いですね。我が家ではなぜか徳島の御膳みそで煎り煮します。
「魚井の御膳味噌ーっ、・・・帰りたいなあ・・・」の味噌ですね。
ローカルなネタでごめんなさい。
とはいえ偶然にも今日高知に帰省するのでなんとなく「・・・帰りたいなあ・・・」が引っかかりました。
ちなみに料理法は私の素人料理で地域性などは全く勘案されていません。
逆にマンボウの味噌煎りを今度試してみようと思います。