2007年12月23日アーカイブ

 夜明けを迎えた空はどんよりと曇っている。八王子総合卸売センターに着いたのが7時前。暮れ近い上に三連休初日とあって、なかなか空きスペースを見つけられない。やっと駐車して、『市場寿司 たか』前にくると海老名の海老さんが持ってきたらしい発泡があるだけ。
「おーい海老さん」
 呼んでみるが、返事はない。
 仕方なく店横のテーブルのカバーをどけてコンロや干物を運ぶ。姫は早々と『さくら』へ勝手に入ってラーメン。
 するとまるで妖怪のように海老さんがわいてきた。恐いなー!

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海老名の海老さんはまだまだいろんな技を持っているようだ

 海老さんが取りだしたのが鋳物のどっしりしたコンロで、まずそこに固形燃料を置き着火。その上に岩手の黒炭を積んでいく。そして待つほどもなく、炭がパチっと音をさせてきて、もっとも困難と思えた炭火をつけるという手順がなんなく終わる。海老さん、さすがだー!
 その間にjasminさん、ヒモマキバイさん、ネズミフグさんが到着。jasminさんはスペインでテロに遭遇したと言うことで、なかなか大変な半月であったようだ。

 まず『市場寿司 たか』で腹こしらえ。特ネタのシマガツオ(エチオピア)、コブダイ(寒鯛)を始め、みなさんにお任せ寿司を堪能してもらう。さすがに暮れのせいか『市場寿司 たか』もこんでいる。ボクもぼうずコンニャクスペシャルを早々に食べて、干物を焼き始める。
 そして真菌さん(ご本人が真菌に似ていると言う意味ではない)、そらひとさんが登場。

 最初に焼き始めたのは自家製のキビナゴ。これは当たり前だけど、誰が作ってもうまいもの。ナシフグの粕漬け。

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naohnaohさんにいただいた酒粕でつけたもの。味はいいと思うのだけど、焼いてもアルコール分が残る。酒粕はもう少し寝かせる必要がある

 そしてシマガツオ、コブダイの頭の開き干し。旬を迎えた大型魚の頭部は脂がしたたり、角形七輪から炎があがる。そのたっぷりした脂の甘さ、皮目のうまさは、これまたなかなか好評であった。

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シマガツオの開き

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寒鯛(コブダイ)の開き

 そして真打ちともいうべき、秋田のなべ婦人自家製のハタハタの三五八漬け。この焼き上げるときの香りがいい、そしてたっぷり入った卵。
 これをjasminさん、真菌さん、ネズミフグさんが手でほぐしながら食べている。三五八漬けの麹から来る風味がわかっていただけただろうか?

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ハタハタの三五八漬けは、干物というよりは漬物。麹の香りというか風味がいい。秋田のなべ婦人、ありがとうございました

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 また金曜日に到着していたカネマル笹市のアジの開きは味見程度であったが、プロの作るものの凄さを感じざるおえなかった。
 この日、jasminさんが持ってきたのが唐墨(カラスミ)のフォカッチャ。これが唐墨の香り、やや渋み、と旨味があいまって非常に美味だった。

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これ非常にうまいものだった。jasminさん、こんどお土産にください。他の人にはあげなくていいから

 そして最後にjasminさんの唐墨を薄く切り、ほんの少しあぶって味見。少し塩抜きが足りないようで塩辛いが味はいい。今回の東恵丸さんのボラの卵巣がいかにお買い得であったものか知り、うらやましくなった。来年はボラから自分で卵巣を取り出すことにこだわらない方がいいかも。
 干物を少しずつ分けて、海老さんの柚をいただき、ボクは無理矢理、ネズミフグさんからうまそうな日本酒を奪い。干物会は終わる。

 干物を食べ終わって、八王子総合卸売センター、八王子綜合卸売協同組合を一回り。皆さん『高野水産』、『総市水産部』で魚、『カワベ』で肉を買い、八王子魚市場に移動する。

 八王子魚市場ではマグロ部のムッシュから尾ビレ近くを千円で買い。他の型には血合いぎしを分けてもらう。このあたりムッシュの人の良さがにじみ出ている。
 今年の営業を残して八王子から撤退する『源七』に回る。あんちゃんの作る、こはだも最後かと思うと、少々悲しい気持ちで買い求める。

 11時をまわって八王子魚市場にて土曜会は解散。みなさん楽しんでいただけたでしょうか?
 これからも『市場魚貝類図鑑』にもたらされた干物や海産物、魚貝類をお分けしたいと思いますので、また集まっていただきたい。
注/八王子土曜会は誰でも参加自由です。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
静岡県沼津市 カネマル笹市
http://www.kanemarusasaichi.co.jp/index.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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 寒くなるとキビナゴの入荷が増えてくる。キビナゴはたくさんとれる時期が旬である。その上、値段は安く、市場では箱売りとなる。当然、2キロ、3キロと買い込むことになると、大量消費するための算段が必要となる。そんなとき必ず作るのが干物である。
 干物には家庭で作った方がうまいものと、市販のものがいいものに分かれる。市販のものでうまいものというと干すときに熟成が必要なもので、例えばキビナゴのような小魚だと、この熟成がむしろ無駄な苦みとなってしまう。だからうまいキビナゴの干物は家庭で作るに限るのだ。
 さて、実際にキビナゴを一箱買い込む。そのあらかたを干物にし、そして夕食には鍋、刺身が定番だ。今回は鍋、刺身は置いて、さて干物作りの話。

 八王子総合卸売センター『総市』水産部で見つけたのが愛媛県産のもの。一箱2キロを半分だけ買う。この値段が400円なり。
 鍋用をとりのけて、まずは大きめの発泡に放り込み、上から塩をふる。この塩加減はやや控えめに。

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 ここで20分ほど待つ。ただ待っていてもつまらないので『市場寿司 たか』でお茶をみながら無駄話。
 20分たったら、これを水洗いする。
 これを発泡のフタの上に揚げ、斜めにして少し置き水切り、持ち帰る。
 後は干しザルに並べてしっかりと干す。このときネコなどに注意すること。ザルに広げる最中にも油断は禁物。

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松太郎よせ!

 キビナゴはやや硬めにしっかり干した方がうまい。

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ザルを傾けるとパラパラとする感じが、干しあがり

 この脂ののった時期のキビナゴの干物の味をどう表現すべきだろう。その魅力の最大のものはやはり旨味と適度な苦み、脂から来る甘味かな? とにかく食べても食べても食べ飽きない。

 我が家に松太郎というネコがいて、ボクが食べている干物の半分はくれるものと考えているようだ。でもキビナゴだけは2本しかあげない。面白いのはキビナゴの干物をあげると「ウニャー、ウニャー」と鳴きながら食べている。この「ウニャー」は「うまい」なんだろうか? ネコ研究家のヒモマキバイさんにお聞きしたい衝動に駆られる。まあとにかく「ウニャー」と鳴いても、もうあげないからね。

 さて、朝昼晩、お茶請けに食べてもうまいものだが、ボクとしてはやっぱり肴としたい。キビナゴの干物にビール、合うぞ! 例えば熱燗、合うなー。焼酎、もっといいかも。ということで酒の進むこと。
 後々、必要となってくるのは食べ過ぎない自制心だけかな?

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、キビナゴへ
http://www.zukan-bouz.com/nisin/kibinago.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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