寒くなって、うまくなる魚は多いのである。人に言わせると「冬にまずくなる魚はないだろう」というくらいで、市場で魚を見ていても欲しいものばっかりで困る。なかでももっとも魅力的な魚がヒラソウダである。
この皮下に真っ白な脂の甘いこと、そして赤身ならではの旨味。
和歌山県串本から入荷したヒラソウダ、なんとキロあたり500円というのを見て、居酒屋のオヤジが呟いた。
「これカツオと比べてどうかなー?」
「“どうかなー?“。失礼な。無礼ものめ、下がり居ろう」
ボクはヒラソウダの家臣、まるで助さん・角さんのようになって一喝する。
「おいおい、おい、一食ったら。このお方の偉さがわかろうってものよ」
こんなやりとりに安すぎるヒラソウダはあっという間に八王子総合卸売センター『高野水産』の店頭から消えてしまった。
それで残ったのが一本だけ。失敗したなーもー。
ヒラソウダは下ろすそばから包丁にべったりと脂をつける。その包丁を引くのが重いこと。半身を刺身にすると、出すと同時に一切れも残らず消え去る。そしてまた半身。
ヒラソウダを酒の肴にというお父さんの目論見は露の如く消滅。後の2切れだけいただいて、欲求不満のため酒を過ごす。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒラソウダへ
http://www.zukan-bouz.com/saba/saba/soudagatuo.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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2007年12月16日の改訂記
遠征釣り師は別として、釣り人でも初心者の人などはヒラソーダのその価値を知らない人も多いようです。実際、船上で捨てようとしてる人がいたのでその価値と美味しさを教えてあげました。(もらっとくべきだった?)
やはり、狙って釣れる魚ではないから知らない人も多いのでしょう。
知ってる僕は外道で偶然釣れると、本命の魚そっちのけですぐ締めて大事にしまい込みます。
まさに宝物です。
かんなぎさんも「うまいもん釣り師」ですね。
大物釣り師はおうおうにして小物には無関心かと思っていました。