さて、流通する魚のことを調べはじめて20年以上になる。月日の経つのは早いもの。徐々に我がデータベースも充実してきている。また驚いたことに2000種を超える画像を持ちながら、まだ見ていない、画像を持っていない魚貝類のなんと多いことか。
そんななかでも調べ始めた当初、20年以上も前に手に入れて、それ以来一度も見ていない魚がゴマソイである。当然、我がデータベースには画像がない。
それは1986年の晩秋、常磐での初めてのヒラメ釣りだった。船の席取り(これが大方の釣果を左右する)などがわからずに艫(とも)から2番目の席になった。舳先にいくほど人が多く、これはしまったなと後悔した。きっと船の流しからすると舳先が有利なのだろう。
この心配は、現実のものとなった。艫にはまったく当たりがこない。それでも艫のお隣には2匹のヒラメがきて、最後の流しで上がったのがゴマソイだった。
「初めて来たんだよね。坊主はかわいそうだね。オレは毎日来てるからあげるよ」
席に着いた当初から、いろいろ世間話や当地の釣りのことをお聞きしていたので、気の毒に思ったのだろう。ヒラメをバケツにいれてくれる。
でも初めて見たゴマソイが気に掛かる。こんなことお願いするのも変だなと思いながら、ゴマソイをいただいて帰ったのだ。でもそのとき、こんな珍しい魚だとも思わず、撮影しないまま食べてしまった。これが大失敗であることは数年して気が付いた。築地でも、また地方を旅しても一向にゴマソイを見つけられないのだ。
このゴマソイはいったいどこでとれるのか、それがなかなか難しい。生息域も検索図鑑では曖昧だし、最近では唯一信頼できるのが『遊遊さかな大図鑑』(この図鑑は優れているのだ)のみ。
千葉県から北、北海道までというボクがぼんやり考えた地域、気仙沼で精密でわかりやすい釣り魚図鑑を作成しているのがMakoさんである。気仙沼の水産関係にいることもあって、前々からゴマソイのことをお願いしていた、それが2007年暮れに生きているまま届いたのだ。
このうれしいことは文字では表現できないほどである。残念ながら鰓ぶたのあたりにキズがある。それでも長年探し求めたものが年末に来るという幸運は、新年に繋がるものと思える。本当にうれしい。
さてさて、今年は探し求めている魚貝類の空白がどれくらい埋まるものだろう。
例えば“サブロウはいるがシロウはまだ”。“ニシキエビは手に入れたがゴシキエビがない”。ムツゴロウ、カラフトシシャモ、オヒョウ、オショロコマ、イトウ。オホーツク海、沖縄の、琵琶湖の、有明海の生き物たち、海草類、まだまだ埋める空白のなんと多いことか。最近ではボクの生きている内に図鑑の完成を見る可能性が非常に低いのだとわかってきた。
あとは完全な形に出来うる限り近づける努力をするしかない。
年末は慌ただしく、憂鬱な日々であった。そんなときに喜びがあったとしたら、各地からのうまいもの、そして初めて見る魚貝類だった。送って頂いた方々には感謝のしようがない。ありがとうございました。
そしてMakoさんにもう一度「ありがとうございました」。
MakoさんのAngler's-Marketへ
http://www7a.biglobe.ne.jp/~Fish-Fish/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ゴマソイへ
http://www.zukan-bouz.com/kasago/mebaru02/gomasoi.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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滝沢馬琴も食べた「鯔開き」
管理人様
明けましておめでとうございます。いつもありがとうございます。
なんとか、2年前の約束を果たすことができました。今度、傷の無いゴマソイが手に入り次第、また送る事にしましょう。でも、いつの事になるやら・・・(笑)
makoさん、明けましておめでとうございます。
久しぶりにサイトを拝見しましたが、充実ぶりに驚きました。
デザインも優れていて、他を圧倒していますね。
今年はもっと覗いていこうと思っています。
今年もよろしくお願いします。