「フグって本当にうまいなー」と毎冬のように、つくづく思う。これは、たまに行く釣りでも、ついついフグ乗り合いを選んでしまうくらいにうまい。他を寄せ付けないうまさだとも言えそうだ。
さて、フグと言っても種類は多く、例えばフグ目の魚であることは確実だが、その下の科の段階でも多岐にわたる。例えばハコフグ科、ハリセンボン科、そしてフグ科。当然、フグらしいフグというのはフグ科であり、そこにいくつかの属があるが、食用となるのはサバフグ属とトラフグ属のふたつ。2つの属ではトラフグ属の方が圧倒的に味がいい。そしてそしてフグの頂点に君臨するのが、ボクの個人的な意見かもしれないが、ヒガンフグ(関東では赤目河豚)とトラフグ(カラスフグも含めて)のふたつだろうと思っている。
さて、その頂点にある2種のどっちがフグの王様なのだろう? これが意外に難しいのだ。
普通は断然トラフグで決まりなのだけど、安いトラフグ、例えば養殖物とヒガンフグでは、間違いなくヒガンフグが上、では天然の上物ならば、残念ながら定評通りにトラフグが上を行く。
でもトラフグであり、天然であって、しかも上物となると、1キロ当たり1万円以上する。そこにヒガンフグは総て天然なのだから、上物でもキロ当たり3000円前後、高くても4000円ほどしかしない。となると経済的な観念(あまり豊かでないなら)を含めるとヒガンフグはフグの中では王様に値するということになる。
さて、今年はヒガンフグの当たり年なのかもしれない。暮れから1月にかけて入荷が多く、値段も安かった。
見つけたら当然買い込み、知り合いのフグ調理師に毒の除去をお願いして、まずはペーパータオルにくるんで一日寝かせる。トラフグもそうだけど、さばいた当日はあんまり味がない。
これを翌夕方に鉄さ(てっさ)にする。ヒガンフグの刺身を食べて、最初に感じることは、シコっとした身の硬さであり、それを噛みしめたときの旨味の濃さだ。この旨味を濃いというのは間違いかも知れぬ。甘味も旨味も平凡なのだけど、その硬さ故に長々と舌に感じられる。
刺身の後は、鍋にする。これもトラフグに負けぬほどにうまい。なんとも言えぬ旨味が満ちた、しかもクセのない汁なのだろう。鍋をつつきながら、ついつい汁を飲みたくなるし、しまった身の味もいい。
これならヒガンフグを食べて、彼岸に行ってもいい、なんていうのは洒落であるが、それほどに美味だ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒガンフグへ
http://www.zukan-bouz.com/fygu/fugu/torafugu/higanfugu.html
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http://www.zukan-bouz.com/
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ヤリイカのメスにはお宝が!
ヒガン旨いんですよねー
フグ調理師の知人もいないし、自分だけだからフグも自己責任でやっちゃうんですが、過去に一度だけ失敗して当たったのがヒガンフグなんですよね。ヒガンって毒性が地域や季節でめちゃくちゃ変わるって話を聞いてたんですが、流通的にはどうしてるんでしょう?
せつなさん、ナシフグ、アカメフグ、ヒガンフグなどは出荷する地域が限定されているのかも知れません。
三陸が注意とされるヒガンフグの産地が宮城県で、気になってはいたんですけど、今回は大丈夫でした。
ヒガンフグの場合、本当に筋肉だけ。口腔の粘膜も、脳みそも、腹腔の膜も丁寧に取り除くようにする方がいいのかも。
なるほどやはり注意したほうがよさそうですね。
食べなきゃ問題ないんだけど、どうしても味知ってるといい型のが釣れた時に我慢できなくて。
回答ありがとうございました。
フグといえば、ショウサイ船に乗って剥いてもらってきたのを過剰に食べる人もどうかと思うんですけどね。