八王子総合卸売センター『さくら』はラーメンを種とした中華料理の店。でもこの店が単に「ラーメン屋」と思うのは大間違いである。ときどき牛肉などを使って店主のまささんの作り出す味覚の奥は深く、圧倒される。
そのような店だから、テーブルに置かれている、自家製の唐辛子味噌が平凡なものであるはずがない。たぶん唐辛子を潰して、なんらかの味つけをし、それから熟成させる。辛みの強い、この赤いペーストが自宅で、思わぬときに思わぬ料理に威力を発揮してくれる。
今回登場するのは小振りの生食用カキ。これを買ったまま、数日冷蔵庫に置き忘れて、とても生で食べる気にはなれない。そこで鍋物にするのだけど、その日、家族は妻の実家に行っており、久しぶりの「小鍋仕立て」となる。
冷蔵庫にはシイタケ、ネギ、大根、海老名の海老さんにいただいた柚。これを薄目の鰹昆布だし、酒、味醂、『さくら』の唐辛子味噌で汁を仕立てて煮ていく。
唐辛子味噌は最初は少量、徐々に足していくのだけど、最後には汁を飲むと飛び上がるほどの辛さに。このヒリヒリするくらいの汁がうまいのだ。マガキの旨味と熟成した唐辛子は、まことに出合いのものとしか言い様がなく、一人っきりの薄ら寒い部屋で大汗をかく。
ここにチンチンに冷えた壱岐の麦焼酎の心地よいこと。「たまりませんな」と五十路男は独り言をテレビ画面に呟くのだ。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マガキへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/pteriomorphia/kaki/magaki.html
八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
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大西洋のサバでみそ煮