マテガイは強火で焼くのだ

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 マテガイという二枚貝は、とても味がいい。別に珍しいものではないのに、意外に流通にのることがない。だから希に見つけると必ず買い求めることにしている。

 北海道南部から南、ほとんど日本各地の干潟に棲息。細くて一見平たい棒杭のような形で、泥に縦にもぐり込んでいる。
 東京湾にもまだまだたくさん棲息するありふれたものなのに、どうして市場にあまりやってこないのかというと、ときどき泥臭いのがいるのと、輸送に弱いせいだと思われる。

 八王子魚市場特種で海水入りの箱の中で元気に水管を伸ばしているのを、見つけてひとつかみ買ってくる。
 大分県の北部周防灘に面した宇佐市からきたもの。このあたりには干潟が多く、ほとんど国内では消滅したハマグリの希な産地でもある(大分県のハマグリの種に関してはいろんな説がある)。
 会計をしていると、寿司屋の富さん(八王子上壱分町『寿司 富』)から声がかかる。
「これ、どうやって食べるんだい。バター焼きにしたらまずくてダメだったよ」

 このマテガイをどう料理するかというと、水洗いして、丸のまま強火で焼く。終始強火で短時間に焼くのがコツで、まさに単純極まりない、料理とも言えないような料理法が、マテガイのいちばんうまい食べ方なのだ。けっしてバター焼きなどにしてはいけない。
 焼き上がったら、生醤油かだし醤油を回しかけて、あとは食べるだけ。
 ほんの少しだけ、泥臭く、また貝の持ち味である海の香り、甘味があっておつな味。これはもうおかずではなく、酒のアテとしかいいようのない一品である。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マテガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nimaigai/heterodonta/mategai/mategai.html


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このページは、管理人が2008年4月24日 13:01に書いたブログ記事です。

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