初夏の三の字、やっと攻略

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 標準和名のニザダイを「にざだい」と呼ぶ人はほとんどいない。ほとんどの地域で「三の字」と呼ばれ。三重県尾鷲市などでは敬愛を込めて(?)「三公」なんて呼ぶらしい。

 冬には美味であるが、夏の三の字には二の足を踏む。ときにもの凄く臭いのがいるからだ。
 今回のものは鹿児島県南さつま市笠沙の、わかしおさんからきたもの。けっして臭い個体には思えないが、包丁を入れるに躊躇するものがあった。それで今回は「丸投げ」することにした。
 さて、丸投げ先は八王子総合卸売センター『さくら』である。
 いたって良心的な中華料理屋である『さくら』を定期的に悩ますのは、誰あろうボクかな? と思っている。なぜならときどき手に負えない魚があると「なんとか料理に出来ませんかね」なんて強引に持ち込むからだ。
 ちょっと困ったような顔をしながら、『さくら』の店主まささんはいろいろ考え苦しみ、いつも絶品料理を作ってくれるのだから凄いね。

 今回のニザダイも、
「思ったより臭いが強くてこまったよ」
 なんて言いながら、2皿の料理になって出てきた。
 片や『さくら』特製スープでの煮込み。片や甘酢煮込みである。
 今回の試食にはちょんまげ切り落とし男のコトヤさんと、たかさんが加わる。
 まず出来上がった中華煮込みに3人とも夢中になった。

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 もちろんスープがうまいから興奮しているのだけど、これほど難敵のニザダイの身がうまいのである。
 たぶん一度揚げた身を、シイタケ、キクラゲや野菜と煮込んだもの。
 説明すると単純だけど味わいは奥深い。
 別に香辛料を大量に使っているわけでもないのに、ニザダイの臭みは皆無。
 しかも、たかさんをして皿まで嘗めさせるとは。
 続いて来た甘酢煮込みも、うまいことはうまかった。

NIZADAI0805222.jpg
●クリックすると拡大

 ただ、これはニザダイの身の存在感がなくなっている。
 それでもやはり最後にはたかさん、皿まで嘗めていたんだから、優れた一品なのだ。

 夏には問題有りのニザダイが、これほどの美味に生まれ変わろうとは驚きだ。
 さて、次回はどんな難敵を『さくら』に持ち込むべきか、わかしおさんと作戦会議を開く。

八王子の市場に関しては
http://www.zukan-bouz.com/zkan/sagasu/toukyou/hatiouji/hatiouji.html
わかしおさんの「お魚三昧生活」
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/komendago
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ニザダイへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki/nizadai/nizadai.html


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コメント(3)

5月半ばに伊豆某所での磯釣りでニザダイが釣れました。勿論即刻血抜き+内蔵出ししてその晩に食べました。
生では脂が非常に乗っていて、好き嫌いの分かれるクセというか臭いがあるもののまずまずおいしく食べられました。
一方小麦粉をつけてソテーにしたものはクセがちょうど程良い感じでこちらは良い意味で万人向けにおいしくいただきました。
頭を含めたアラで鍋物の出しをとると、魚の出汁と言うより鶏がらとかとんこつのような風味と脂がでて鍋物というよりラーメンスープに近い味になりました。
私なりの結論としては「刺身のように魚そのものの味をじっくり味わうよりも火を通してクセを上手く生かす料理のほうがより向いているよう」に感じました。
磯釣り師にはなぜか嫌われているサンノジですが味はなかなか好みなので私は下処理して必ず持って帰りますね。ご参考まで。

とても美味しそうでした。
ご馳走様です。

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あ2さん、市場にくるニザダイ、もしくは定置網や刺し網にはいるものは血抜きすることは無理ですね。
やっぱり釣るに限りますね。

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このページは、管理人が2008年6月 1日 17:49に書いたブログ記事です。

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