島根県浜田の「どんちっちあじ」

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 最近、島根県浜田市の水産物ブランド「どんちっちあじ」をよく見かける。
 くわしいことは省くが、4月から8月のマアジであり、脂が15パーセントである。
 船籍は問わず浜田漁港に水揚げされたもの。というのが基本的な取り決めとなっている。
 脂の含有率などは県の水産技術センターが試行錯誤の上、測定する器械を開発するなど、島根県一丸となっての取り組みである。

 ただし「どんちっち」がわかりづらい。
 聞けば面白いのだ。これも詳細は浜田市のホームページを見て頂きたいのだけど、八王子市にある八王子総合卸売センター『総市』で売るとき「客に聞かれると困るな」なんて店員がぼやいている。
「大きいのも小さいのも“どんちっち”だろ。何が違うの。教えろよ」
 売場の責任者であるミノルちゃんに聞かれて色々説明したのだけど、
「じゃあ、なぜ“トロあじ”とか“脂たっぷりあじ”にしないんだ」
 わけがわからん、なんてボクが攻撃を受けた。

 個人的には「どんっちっち」は面白いと思う。築地荷受けでも名称だけはすぐに広がったということだし、今現在「どんっちっち」を探す仲卸もいるという。ここ数年で確実に「高値で売れる荷」となるだろう。
 ただし、「どんちっち」の意味合いがわかって買っている人が、どれくらいいるのかというと疑問符がいっぱい湧いてきそうだ。
 この「どんちっち」のラベルで何が欠けているかというと、書かれている、「島根県西部で漁獲された新鮮なお魚です」というのは情けないほどダメ。まったくの無駄コピーだ。
 必要なのは「旬の4月〜8月のもの」、「脂質10パーセント以上でうまいから“どんちっち”マアジなのだ」ということと「島根県浜田漁港水揚」の3つだと思う。
 今回のものは船名「海幸丸」までのっていて魅力的だけど、魚が小さいこと、「ブランド魚」なのだから「関あじ」のように鮮度もいいだろう、と思った人に誤解を受けていた。

 入荷してきて一日経ってしまっていたので、フライと一夜干しにして食べてみた。
 フライは脂がなくてもうまいだろう、そんなことを考えている人、いませんかね。油を使った料理なのに、フライはある程度脂がのっていないとダメなのだ。これはパンにショートニングを加えるのと同様の理由だ。
 このフライが絶品であった。そして一夜干しは脂(油)が体内からにじみ出てきて、表面が揚げ物のように香ばしく仕上がった。当然、こちらもうまかったねー。
「どんちっちあじ」の味は最上級である。

どんっち
http://www.city.hamada.shimane.jp/kurashi/nousui/suisan_don.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マアジへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/maaji.html


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コメント(4)

「フライト一夜干し」ってとてもお茶目な変換ですね。
飛行機にぶらさげて干すのかと思っちゃいましたよ。

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去年もそうでしたが、今年のどんちっちアジも脂の乗りが15%以上と相当に良いようです。毎朝、大きさや船別に脂の乗りを近赤外線測定装置で測定していて、HP等でその船、そのサイズの”脂ののり”が確認できる仕組みになっています。ところで、シールには黄色いものと白いものがあるのですが(今年から)、白いものは浜田船籍の地元船が取ったもので、漁場が近い上、魚槽の温度管理に細心の注意を払っています。今度は一度白札のどんちっちも手に入れてみてくださいね。サイズは、どんちっちアジの場合こだわっていませんが、脂の乗った美味しさは保証できます。なにせ毎朝セリの前に脂を測定してますからね。ブランドといえば、普通は大きさとか、イメージが主体ですが、どんちっちは島根県の水産技術センターの分析結果、技術をもとにした、いわゆる”データ”で示したブランドです。あー、名前と同じ硬いコメントになってしまいました、すみません。

 その通りだ。マジマジのコメントはつまらないぞ。もっと真面目に書き込め。
 一夜干しの開きの旨味について一言。脂の乗った魚を焼くと、一層旨味やコクが出てくるのは科学的な理由があるんです。筋肉中や表皮のコラーゲンが熱で分解して、プロリンというアミノ酸が増えることでコラーゲンが分解していることが分かるんです。特にウナギや脂の乗ったアナゴの蒲焼きの美味しさの秘密の一つになって入るんですよ。(と思う。)
 コラーゲンは一種のタンパク質ですから、揚げ物状態の高温下で分解しやすくなって、プロリンや他のアミノ酸、ペプチドも増えるんです。弱火でじっくり焼いてしっかりコラーゲンを分解させて、最後に仕上げの焼きを入れるみたいなのが美味しい焼き物になるはずなんですけど。誰か試してみてください。

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鮟鱇さん、直しました!
まじまじさん、トーボさん、似たもの同士ですな!

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このページは、管理人が2008年6月 5日 10:35に書いたブログ記事です。

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