島根県島根半島は東は松江市、西は出雲市にまたがる。
まことに雄大な、そして美しい湾が連なって風光明媚なところだ。
この岬や、湾にたくさんの定置網(大敷き網)があるのだけど、ここであがる魚貝類が見事。
なにしろ定置で揚がったものは鮮度も取り扱いもよく、市場でも最高ランクに近い評価を得る。
加うるに日本海長崎から島根県にかけてのマアジは国内でも最高峰の質と脂をもっている。
こんなことを書いてきて、先日、近しい仲間から素朴な疑問を問い掛けられた。
「定置網って、そんなにいいものなの」
考えてみると一般に「定置網」が“うまそうな言葉”であるわけがない。
そこで説明した内容をここで再度挙げていく。
1 高値をつける、もっとも上位に来る漁法は釣りだ。
2 定置網は釣りものにもっとも近い評価を受ける。
ときに釣りもの以上の評価を受けることがある。
(注/島根県島根半島などで殺菌冷海水を使った処理をしているなど)
3 最低ランクというか評価が低いのが巻き網。
(注/巻き網の魚が単純に評価が低いとはならない場合がある)
6月20日、島根県松江市美保関、定置網の沖での網上げ、港での選別を見学していた。
すると次々に地元の方がやって来て、自由に魚を選んで買っていく。
ここでは好きな魚を選んで計量してもらい買い求めることができるのだ。
ボクが狙ったのがマアジ、スズキ、イシダイ、アカカマス、その他サメ類他。
マアジは中でももっとも大きいのを買い求めることができた。
この感激は誰にもわからないだろうね。
選別するときに触っただけで、脂ののりがただごとではないことはわかるのだ。
しかも定置の方にお土産のマアジまでいただいて、二重の喜びを感じたのだ。
さて土曜日に帰り着くと、美保関の魚貝類も自宅に届いたばかりだった。
まずは中アジの塩焼き。
大アジ、スズキ、イシダイ、ホウボウの刺身。
一本だけ「小目(ホソトビウオ)」が混ざっていて、これは大阪鶴橋『よあけ』で覚えたばかりの「ぬた」にする。
この食卓に乗り切らぬほどの魚料理。
なかでもノックアウトされるほどに驚愕したのが、マアジの皮下の脂が室温で溶けだしていたことだ。
これを一切れ口に放り込むと、これまたトロっと口の中に脂が放出される。
放出された脂が甘い。
甘いの次に来たのが、これまた強い旨味で、「今期最上のマアジはこれだな」の感が浮かぶ。
でもこの刺身での感激はまだまだ序の口だった。
マアジがジュウジュウと炎を上げながら、濃厚な香りを室内にふりまいている。
これだけは焼きたてでなければ、と食べたら、間違いなくKOされてしまったわけで、あとは言語では尽くせない味わいであった。
皮目は水からの脂で香ばしく揚げたようだし、濃厚な旨味は舌をしびれさせるほど。
今回のマアジのほとんどが抱卵していて、成熟が進んでいた。
とすると島根半島のマアジの旬はあとわずかだ。
これほどうまいマアジは人生に置いてもあと何回食べられるか、わかったものじゃない。
できるだけ早く、もう一度食べたいけど、誰に頼もうか?
JFしまね
http://www.jf-shimane.or.jp/
島根県水産課
http://www.pref.shimane.lg.jp/suisan/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マアジへ
http://www.zukan-bouz.com/aji/aji/maaji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
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2008年6月24日の改訂記