アオイガイはタコなのよ!?

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 梅雨の最中の6月11日、島根県島根半島馬島へ定置網の水揚げを見に行った。
 まだ明けやらぬ松江市内を出るときには小雨、馬島に着くやいなや驟雨沛然となる。
 その湿度100パーセントの中、定置網の選別が行われた。
 大漁であった。たくさんのマアジに混ざり、無残にも放り投げられていたのが、これまた無数のアオイガイの中身だ。
 雨空は銀色であり、なぜか海水と雨水が混ざり合う地面がやたらに明るい。
 そこに青白く浮かび上がるのがアオイガイの美しい貝殻であり、その脇で蠢くのが貝殻の主である。

 アオイガイの仲間カイダコ類は国内には3種。
 貝を背負う軟体類というとオウムガイの方が有名であろうが、こちらはむしろイカに近く、アオイガイはタコの仲間である。
 美保関では家庭の玄関に飾られている、それほどに美しいアオイガイの貝殻だけど、選別を急ぐ漁師さんにはやっかいな存在でしかない。

 この美しい貝殻と、貝殻から抜け出した完全にタコとしか見えないものをたくさん拾う。
 そのまま八王子北野八王子総合卸売センター『市場寿司 たか』に送り、調理しておいてもらったのだから、これは言うなればアオイガイを丸投げしたようなものだ。
「いちばん忙しい金曜日にさ、荷物が届いただろ。そこにびっくりするくらいたくさんのタコがあって。汚れた貝殻がこれもいっぱい」
 島根から帰り着いて、アオイガイの握りを撮影するべく店内に入るやいなや、たかさんの怒りのお言葉が吹き出してくる。
「やっとゆでてたら、うまくもなんともない」
 やはり「うまくないんだな」。
 確かに握りにして、ちっともうまくない。
 持ち帰り、酢みそ和え、バター焼きにしても同様だ。
 どうやら身に水分が多いようだ。

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バター焼きがいちばんうまかった

 翌日、まだ怒りの冷めない、たかさんに
「人間初物を食うと80日長生きするって言うだろ」
「初物違いだろ。オレは80日寿命が縮まったよ」

 断って置くけど、アオイガイはそんなにまずくはない。
 水っぽいタコだと思えばいい味なのだ。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、アオイガイへ
http://www.zukan-bouz.com/nanntai/tako/aoigai.html


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このページは、管理人が2008年6月30日 07:49に書いたブログ記事です。

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