山陰島根の白ばいは刺身がいちばん

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 島根県の水産アドバイザーを引き受けて、いちばんの課題に思えるのが関東での「白ばい(エッチュウバイ)」の価格である。
 先月の築地場内でのこと島根県大田市産だと思われるのがキロ当たり850円、1200円、1400円と並んでいる。普通大きい方が値が張ると思われるだろうけど、「白ばい」に関して関東では真逆となる。
 小さくて大きさが揃っているほど高く、大きいほど値が下がる。

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築地場内で見かけた島根県産の「白ばい」。小さい方が高い。

 どうしてだろう?
 それがいたって簡単なのである。
 関東では「白ばい」を刺身にしないからだ。
 もっぱら煮るために小さい方が都合がいいし、ついでに言うならば「巻き貝の煮たものは突き出しの定番」でもある。
 ちなみに「突き出し」とは関西でいうところの、前菜としてのあて。
 どうやら関東の料理人は「白ばい」の刺身のうまさをご存じないようだ。

 関東で巻き貝の刺身というとエゾボラ属が主だ。エゾボラは市場では真つぶ。そこにBつぶなどが加わり、すべて刺身用となる。とにかく関東ではエゾボラ属は刺身用、対する「白ばい」を代表とするエゾバイ属は煮物用に決めてしまっている。

 水揚げの多い島根県人にはこれが不思議でならない。
 隠岐島後でいっぱいやっているときにも、「白ばい」の刺身が出て、「うまいなー」なんて食べながら、関東人の不思議を語り合ったものだ。

 さて、最近、「白ばい」の刺身が関東で流行らない理由が、その滑りにあるのではないかと思うようになった。
 エゾボラ属と比べると塩もみしてもなかなか滑り、粘りがとれない。
 コツは一度にたくさん揉むことだ。
 基本的には関東では「白ばい」が安い。
 だからたくさん買い込んで一度期に揉み取ると、簡単に滑り、粘りがとれる。

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 そして「白ばい」の真骨頂はワタがうまいこと。
 このワタだけは塩ゆでして刺身に添えて出す。
 刺身にワタが加わってなんだか、見た目が豪華である。
 我が家では刺身醤油と(辛子)酢みそを用意して好みで食べる。

 さて真つぶと比べると、やや柔らかい。
 シコっとして甘く、貝の風味と旨味がどんどん混ざって複雑なうまさとなる。
 これは間違いなく日本酒に合う肴。
 本日は隠岐島後の銘酒「高正宗」を一献。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、エチュウバイへ
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このページは、管理人が2008年7月 6日 18:00に書いたブログ記事です。

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