もうかの刺身はどんな味?

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 八王子魚市場に「もうか(ネズミザメ)」が入荷してきていた。
 もちろん丸のままではなく肉のかたまりとなって。
 産地はネズミザメの水揚げ高ダントツ一位の宮城県気仙沼である。
 臭いを嗅いだり、触ってみた限り、鮮度良好に思える。
 こんなことをやっていたら、近所の魚屋のオヤジさんたちが近寄ってきた。
「サメ買うのかい。もうかだね」
「昔はこのあたり盛んにサメを売ってたんでしょ?」
「そうだけど、これじゃないよ。棒だよ、棒」
「だって、昔は丸のまま貨車(鉄道)できて、それぞれの店で剥いていたっていうじゃない」
「あー、そりゃ、もっと昔だな」
「オレらの時代はやっぱり棒ざめ(アブラツノザメの剥き身)が主だな」
「戦後すぐまではサメの皮を剥いてさ、それをまた売るの。こうやって(ゴシゴシするまね)漬物にする大根を磨くのに使うからさ」
「そうそう、懐かしいな。ウチのお袋もサメの皮で大根ごしごし洗ってよく漬けてたな」
「もうかは最近買わないの?」
「買わない、売れないからね。棒だって売れないよ」

 この腹側の脂ののってそうなところ(キロ当たり600円)を1キロ買ってくる。
 そして『市場寿司 たか』で刺身にする。
 通りかかったこれまた近所の食料品店のオヤジをつかまえて三人で食べてみる。
「あれれれ、うまいね。クセないし。ちょっと肉(獣肉)って感じだけど」
 たかさんはこの手のものを苦手としているが、
「うん、オレもうまいと思うな。ニンニクがあるともっといいかな」
 本当にこれがうまいのだ。
 例えば牛肉の刺身のようだ。

 実は今年の6月に広島県三次市に立ち寄った。
 このあたり備北地方は「わに(サメ)」をよく食べる地域として有名である。

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三次市のスーパーに売られていた「ねずみわに」

 この「わに(サメ)」を食べるというのは先々述べていくとして、市内のスーパーを歩くと、総ての冷蔵ケースにパック入りのサメがおかれていた。
 サメは2種類で、方や「いらぎ」というのだけど、たぶんアオザメだろう。
 こちらは安い。
 もうひとつ「ねずみわに」は間違いなくネズミザメ。
 産地表示が「宮城県」とあるからには間違いなく気仙沼だろう。
 この2種類をホテルに持ち帰り食べてみたら、なかなかうまいのだ。

 関東でサメを食べるとしたら煮つけか、フライなどだろう。
 広島県の北部でサメの刺身を食べるようになったのは、島根県で明治時代にサメ漁が行われるようになって、さかんに芸北に持ち込まれたからだという。
 サメは体内に多量の尿素を持っており、これが海水の塩分濃度と体内とのバランスをとる役目をしている。
 これが死後分解されアンモニア類として体内に蓄積する。
 アンモニアが腐敗するのを抑制して、冷蔵施設のない時代には山間部での生食用として重宝されたのだ。

 思ったよりも食べやすく、またおいしいサメの刺身を食べてみて、ますます“サメを食べる文化”の衰退を残念に思う。
 残った「もうか」は帰宅後、フライとして夕食のおかずにした。
 これぞ「シャークフライ」なのだけど家族には大好評だった。

市場魚貝類図鑑のネズミザメへ
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コメント(4)

広島三次で良く食べられているのはマオナガやニタリだと思います。ネズミザメ科のサメは美味しいですよね。
サメ食文化の衰退は本当に寂しいです。
(個人的問題ですが家業の衰退でもあります)

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サメを食べる運動を青森県など行政なんかも参加してやるべきです。
食文化を捨てないことが、水産業を下降線のまま終わらせないためにも必要です。

地域資源認定申請を試みていますが3戦3敗です。エライ方の中に、サメ食は青森県の恥だと仰る方がいらっしゃる・・とか聞いております。

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そんなことを言う方に「おばかさん」っていってやりなさい。
サメは本当にうまいのだから。

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このページは、管理人が2008年9月24日 11:00に書いたブログ記事です。

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