ヒメジは北海道から九州までの前浜にいたって普通の、平凡極まりない小魚だ。
この小魚の真の価値を知る人は少ないんじゃないのだろうか?
刺身よし、煮てよし、干物にしてうますぎるし、その上、だしをとっても特上だった。
ヒメジのうまさを知らないヤツは「くいしんぼ失格」だなとつくづく思う。
さて今回の「ひとぼし(ヒメジ)」の煮干しは京都市舞鶴市にある『長谷川巳之助商店』のもの。
「舞鶴にヒメジの煮干し」があると教えてくれたのは誰だっけ、忘れてしまって申し訳ない。
ここで改めて感謝致す。
秋に取り寄せて、キロ当たり2600円ほどだから、煮干しとしてはそんなに高くない。
近年ではカタクチイワシの平均的な値段と同じだろう。
干し具合も上々で、見た目からして期待感が湧いてくる。
これを昆布と一緒に沈めて、半日ほど待つ。
ことこと火に掛けて、煮立ったところで昆布と、「ひとぼし」を取り出す。
だしは微かに黄金色をしており、非常に澄んでいる。
味をつけずに口に含むと、ヒメジならではの風味が浮かんできて、そして後から旨味がくる。
ここにジュンサイなどを入れてみたいものだ。
もしくはマツモ。
ネギや三つ葉は香りが強すぎてだめだ。
いろいろ考えた末に千葉県佐原の「白味醂」と塩味だけで、この「ひとぼし」の汁を楽しんでみたが、これで充分だった。
沖縄では具のないただの汁を「んなしる」というらしい。(『沖縄料理物語』(古波蔵保好 作品社)
貧しいゆえの具がないということだが、「ひとぼし」のような上品で繊細な汁に具は無用かも。
そしてむしろ具のない汁の方が上等ではないか。
そして里芋とたき、大根と炊き、生麩とたいてみる。
里芋とたいたら、うまかったのなんのって。
名状しがたい味わいとなった。
ヒメジのどこか淡白で軽い旨味が、里芋と合わさって、なかなか不思議な調和を見せている。
画像は使った「ひとぼし」も添えてみたが、これは蛇足だな。
徳島の片田舎で育ったがために、だしに使った煮干しなどはそのまま煮てしまう。
例えばみそ汁のときなら、そのまま取り出したりはしなかった。
これがいやでいやで仕方なかったのだけど、五十路になっても嫌いだな。
長谷川巳之助商店 京都府舞鶴市浜318
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヒメジへ
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/himeji/himeji.html
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑(いちばぎょかいるいずかん)へ
http://www.zukan-bouz.com/
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2009年04月23日の改訂記
ヒメジ,富山(特に東部)では オキノジョロ(沖の女郎)と言ってます.当地ではよく田楽にして食べています(した,,,かな?).
昨年2月4日にボウズ様に送った写真にも写っています.小さくてわかりにくかったかもしれませんね.
では,失礼いたしますです.