「ヒゲダラ」の昆布締め

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ヨロイイタチウオという和名はだれも知らず、「ヒゲダラ」という東京での呼び名も、かなり魚に通じていないとわからないだろう。
やや深海に棲んでいる魚で、主に駿河湾から西で底曵網などでとれる。
タラとつくけど、タラではない。
タラに近い仲間で聞き慣れないアシロ目に属している。
アシロ目では唯一流通する食用魚でもある。
小さいと雑魚扱いだが、1キロを超えると途端に高くなる。
キロあたり2千円から3千円なんてざらだ。

しかも特筆すべきは、鮮魚ではなく、明らかに加工原料なのに高いということ。
加工というよりも料理と言った方がよいかもしれない。
多くが昆布締めになる。
そのまま三枚に下ろして刺身なんてことはしないのだ。

東京でもヒゲダラの昆布締めを名物にする魚屋がある。
こんなものを作る魚屋は高級で敷居の高さを感じる、それほど昆布締めになってしまうと高い。
敷居の高さを感じるくらいなら自分で作るに限る。
1キロのヨロイイタチウオを買っても2千円。

三枚に下ろして、皮を引き、 6時間ほどで軽い締め加減ながらできあがる。
3日くらいは楽しめて、それでも余ったら、焼くといい。
意外に知られていないだろうけど、昆布締めを焼くと非常にうまい。

これは明らかに酒のアテだと思う。
だけども子供たちも好きなのである。
いつの間にか皿の上が寂しくなっている。

ほとんどクセのない白身で、昆布で締めてもシコっとした食感が生きている。
淡白な味わいなのに、昆布の旨みに魚自体の旨みが負けていないのも不思議だ。
やや厚めに切って、心地よい食感の中に、ちゃんと魚からくる、たぶん脂由来の甘み、そして魚自体の旨みが浮かんでくる。

酒は島根県の銘酒『月山 純米酒』。
最近島根は酒所なんだと思うのだけど、「ヒゲダラの昆布締め」は酒をよりうまくさせる肴なのである。

1 三枚に下ろす。振り塩をして一時間ほど。気温によって時間を変える。
2 昆布は酒と水半々に漬けてもどしておく。
3 水洗いして、よく水分を拭き取ったヒゲダラを昆布で包んで冷蔵庫で寝かせる。
6時間程度で食べられるようになるが、昆布の味わいが勝っても、それなりにうまい。
3日くらいはそのままで、締まりすぎたなと思ったら焼いてみてほしい。
これもなかなかうまい。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、ヨロイイタチウオへ
http://www.zukan-bouz.com/taraasiro/asiro/yoroiitatiuo.html


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このページは、管理人が2009年11月10日 07:06に書いたブログ記事です。

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