ころ入れて関東だきを作る

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「ころ」とは、大阪で見る限り、マッコウクジラの皮の部分にあたる。
表面の黒い部分と下の脂肪層から良質の油がとれる。
例えば江戸時代に起こった開港問題は、アメリカの捕鯨船の薪水食料の補給問題に端を発している。
アメリカは油を取るために太平洋にいるマッコウクジラを盛んにとっていたわけで、その頃、無尽蔵だったと思われるマッコウクジラの資源を最初に脅かしたのは、まさに今、捕鯨禁止を盛んに主張する国なのだから皮肉だ。
アメリカは単に捕鯨禁止をいうのではなく、油をとるだけのためにクジラをとり、あとは「ほかして」いた歴史を反省するべきだ。

さて、ボクの知識の範囲ではマッコウクジラといえば「ころ」でしかない。
大阪の鶴橋、木津、東部の市場でよくみかける、「煎皮」、これをもどした「ころ」には総てマッコウクジラの文字を見る。
せっかく関東だき(関西風おでんですね)を作るとしたら、できれば「さえずり(クジラの舌)」と「ころ」のどちらかが欲しい。
「ころ」を買い求めたら、関東だきを作るしかない、ともいえる。

大阪東部市場で「ころ」を買ったので、羅臼昆布と血合いありの鰹節で濃いめのだしをとる。
味つけは簡単にみりん、酒、醤油、塩。
ここに串にさした「ころ」を入れて、ときどき柔らかさ加減を見る。
思った以上にすぐにだしがしみるし、あまり煮すぎると柔らかくなりすぎる。

「ころ」の味は脂の味かもしれない。
非常にぶよぶよと柔らかく、ゆるやかに噛み切ることをこばんでいるかのようだが、そのうち脂分が口の中で溶け出してくる。
そこに微かにクジラの臭みが残るが、これくらいなら気にならない。
おでんのなかでまったく異質な存在で、強い存在感といった方がいいだろうな。
確かにこれを食べると、「ころのない関東だき」は寂しいだろう。

関東だきの作り方
1 いちばんだしをとる。羅臼昆布を1時間以上水につける。火にかけて沸騰の気配がみえたら取り出し、血合いありの鰹節を放り込む。
2 二番だしを取る。だしをこし、残った昆布、カツオ節を水につけて火にかける。わいてきたら、少量のカツオ節を加えて、ほんの少しわかして火を止める。
3 いちばんだしと二番だしを合わせる。三分の一量残して醤油、みりん、酒、塩で味つけ。やや濃いめでいい。
4 練り物、ゆで卵、里芋(海老芋)、下ごしらえした牛すじをたく。頃合いを見て「ころ」を加えてほどよく煮上がったらできあがり。

ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、マッコウクジラ


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このページは、管理人が2009年12月13日 08:40に書いたブログ記事です。

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