イトヨリの産卵期となった。
魚には産卵期に味のいい魚と、味の落ちる魚があるが、前者だな、イトヨリは。
まだまだうまい。
魚には、料理しない方がうまいものと、料理しないとまずいものの二通りある。
イトヨリは明らかに料理して持ち味が出てくる。
この料理しないとだめな魚というのは、魅力に満ちているが、いざ買ってみるとやっかいだ。
どこがやっかいかというと、野菜でも魚でも上物ほど、料理しすぎてはいけないからだ。
ほどほどのところでやめる。
技巧をこらさない。
だからまずはいちばん向いている料理法を選ぶ。
イトヨリの場合はなんと言っても「蒸す」。
これにしかず。
いいイトヨリを手に入れたなら、まずは三枚に下ろして、振り塩。
後は蒸すだけ。
その単純さを、ちょっと色づけしてやる。
今回は夏野菜をあんに仕立ててかけてみる。
あんのなかでほぐしながら、野菜、キノコと一緒に口に放り込んで、じっとイトヨリの旨みが来るのを待っている。
イトヨリのはこのような間があって、これがまた魅力なんですな。
さて木下闇にアジサイのまだ小さな花が浮かんでいる。
通り過ぎる人が、その壮絶な美しさに立ち止まる。
その立ち止まらされた人には、おしなべてやっかいな問題を抱え込んでいるものだ。
イトヨリの蒸しあんかけ
材料/イトヨリ1尾、昆布、酒適宜、片栗粉適宜、キノコ半パック、わけぎ1本、ミョウガ半個、ショウガ一かけ、ピーマン半分
作り方
1 イトヨリは水洗い、三枚に下ろして血合い骨を抜く。
2 振り塩して少し置き水分をふきとる。
3 蒸し器を用意、湯気が上がったら、皿に昆布をしき、イトヨリ、キノコ、ネギをそえる。
4 強火で7分から8分蒸す。
5 蒸している間にカツオ節だし1カップ、しょうゆ大さじ半分、みりん大さじ半分、味見して塩味が足りなければ塩少々。ここにミョウガ、ショウガ、ピーマンの千切りを加え、水溶き片栗粉であんを作る。
6 蒸し上がったイトヨリにあんをかける。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、イトヨリへ
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「いちご煮」は自宅で作るものなのである
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