青森県八戸市周辺で作られている郷土料理に「いちご煮」がある。
「かぜ(ウニ)」の身とアワビの吸い物のこと。
ウニの身が木イチゴのような色合いであることからこの名がある。
薄い吸い地の中に、鮮やかな黄が浮かんでいる。
まことにきれいな椀ものとなる。
八戸で一度だけ食べたことがある。
もう20年以上前のことだけど、これにはがっかり。
魚屋などの密集する市場通りにあった食堂で、「えいや!」と注文したら、アワビのひらひらしたものが2つ、3つ。
ウニたしきものがチラホラ。
「これがいちご煮なのか」
と思ったもののちっともうまくない。
気になったのはだしが使われているように思われたこと。
だしだと気がつくこと自体変だ。
それからずーっと「いちご煮」はまずいと思い込んでいた。
ただ、八戸周辺で晴れの日のごちそうと思われていたもの。
本当に不味いのだろうか?
基本に忠実に自分で作ってみた。
とうぜんだしは不要。
コツがあって、いたって単純。
だしとなるのは椀種であるウニとアワビ。
これをたっぷり用意すること。
それにアワビをあまり加熱しないことだ。
夏の青じその葉を薬味に、酒の肴にいただくのだけど、ウニの香り、アワビの香りが汁のなかからつんとくる。
これがいいのである、まことに。
その上、汁にたっぷりウニのだし、アワビのエキス。
ウニもアワビも椀種としても素晴らしくうまい。
さて、アワビが安い。
大きいものでキロあたり6000千円。
小さいものだと、5000円を切ることもある。
ウニも不況のせいか安い。
たっぷりアワビを100グラム(身だけで)、ウニは塩水ものを半分。
おまけしていただいたのもあるが、2椀で1300円原価だから、手が届く味なんですね。
自宅で作るなら。
お店で食べるといくらかな? まあやめておくべし。
「いちご煮」は自宅で作って食べましょう!
いちご煮の作り方
材料/アワビ小2個、ウニ塩水もの半分、水360㏄、塩、薄口醤油少々、青じそ4枚、白ネギ少々。
作り方
1 アワビ(エゾアワビ)は貝殻から外し、口、ワタをとり、薄切りに。
2 鍋に湯をわかし、ウニを入れる。ここで味見して塩と薄口醤油で加減。
3 最後にアワビを加えて火を止める。薬味に刻んだネギと青じそを加える。
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材料、作り方の上の「料理の名称」が一つ前の記事「イトヨリの蒸しあんかけ」と
同じになってますよ。「いちご煮」・・・なりの、正しい名前に訂正されたし・・。