一人暮らしになって、困っているのが食事だ。
撮影にために来る日も来る日も魚料理を作っている。
一日平均5~6種類の魚貝類の料理を作っては食べ、また食べ、食べしているが、これは食事ではない。
食事とは糖質をとるためのものであって、魚ばっかり食べていると、余計に腹がへる。
それでちょこちょこっとご飯を作るのだけど、スルメイカ1パイと残りご飯があったら、どうしても雑炊となる。
伊豆半島のちょうど真ん中あたりにある網代は、天然の良港で個性的な船宿が競うように並んでいる。
なかに夜釣りのイカ釣りを得意とする船宿があって、何度か通ったことがある。
船宿の夜食に出たのがスルメイカの雑炊だったのだ。
冷え切った身体に暖かい雑炊のなんと美味であったことか。
沖から帰ると、待ち構えたように女将さんが台所に立つ。
スルメイカの墨だけを取り、あとは野性的にワタも内臓もそのままにトントンと刻む。
これを煮上がった雑炊に放り込んで、かき混ぜてかき混ぜて、最後に溶き卵を加えて出来上がる。
無造作に、しかも短時間に大鍋一杯作った雑炊だがすさまじくうまい。
スルメイカのワタの旨みが雑炊に味の通奏低音のようになっている。
膨らみのある味わいというか、丸みのある味わいというか。
豊潤豊かで、甘み、旨みが濃厚なのに後口がさっぱりしている。
いつも雑炊はあっという間に跡形もなく鍋から消え去るのだった。
普通、旅先で出合った料理を自宅に帰って、作ってみると、意外にうまくない、ってことが多々ある。
ところが、この雑炊だけは自宅で作っても、船宿で食べたものと遜色ないものが作れるのだ。
むしろ、自宅で作った方がうまいかもしれない。
材料(2人前)
スルメイカ(活けスルメイカの方がよい)小1パイ、カツオ節だし400㏄、みりん適宜・醤油適宜(みりん、しょうゆは小さじ2ずつを基本として、味見をして加減する)、卵1個(好みで2個使ってもよい)、青ネギ
作り方
1 スルメイカは墨袋をとり、軟骨を抜き、鰓、目などを取り去って、ワタともに適当に切る。
2 カツオ節だしをみりん、しょうゆで味つけ。沸騰してきたらご飯を加える。
3 ご飯が温まったら、スルメイカを加えて軽くかき混ぜる。全体が温まってきたら最後に溶き卵を加えて混ぜ合わせる。好みでネギを。
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑、スルメイカへ
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