熊本中雪商店のしゃくみそ

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アナジャコは国内の干潟などにいる甲殻類。
古くは比較的手に入れやすいものであったはずで、
日本各地で食べられていたはずだ。
ただ、これを今でも流通させ、
また食卓に登場させているのは
有明海、八代海周辺だけではないか?

ゆでる、揚げるなどして食べるのだけど、
塩辛、みそを加えた塩から、醤油漬けなどの加工品ともなっている。
5月にたずねた熊本市田崎町にある魚市場で
初めて聞いたのが「しゃくみそ」というもの。

市場に並んだシャク(アナジャコ)を見て歩いているとき、
九州中央魚市の隅坂さんからお聞きし、
仲卸で作ってくださる店まで紹介していただいた。
それが中雪商店さん。

待つこと2ヶ月で我が家にやってきた。
タッパーウエアに入った、まことに手作りしたというもの。
蓋を開けるとみそ、卵巣、身(筋肉)が斑となっている。
「しゃくみそ」とは卵巣や筋肉で作る塩辛であるという人と、
みそと混ぜ込んだものだ、という人に分かれる。
今回のものは塩漬けしたもので、比較的発酵の度合いは低そう。

わざわざ日本酒を用意して、そのまま口に含んでみる。
これが実に不思議な味であった。
甲殻類ではなく、マナマコで作るこのわた(棘皮動物)やホヤ(マボヤ 海鞘類)のような味。
旨みとほどよい渋みが殷々と舌の上で踊る。
ほどなく甘さがふつふつと浮き上がってくるのだけど、これは卵巣から来るのではないか。
ぷりっとした筋肉の食感とともに非常に複雑だ。

ここではたと気がついた。
日本酒ではなく、焼酎があう。
しかもイモでも麦でもなく、黒糖がいい。

日本酒をやめて鹿児島県喜界島の黒糖焼酎「朝日」をロックにして用意。
しゃくみそを下にのせ、暫し味を堪能して、黒糖焼酎で流す。
これ、まさに至福の時である。

わざわざ作っていただいた中雪商店さんには、大いに感謝。
ありがとうございました。

熊本地方卸売市場
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このページは、管理人が2011年8月14日 16:06に書いたブログ記事です。

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