湖北ならでは? 焼きさば素麺を作ってみる

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湖北木之本、余呉(滋賀県長浜市)では発見がいっぱいあった。
そのひとつが同じく湖北長浜で最近人気の「焼きさば素麺」である。
長浜名物とは知っていたが、当然湖北全域で作られているものだろう。
そう予想して、実はあまり気にもとめていなかった。
なぜなら「焼きさば」というものは滋賀県、京都にとっての
近海(ちかつうみ)若狭だけにあるものではないからだ。
山陰、新潟などたぶん調べると日本全国にあるはず。
またここでは「さば」としたがタイ類、アジ類、カレイ類など
もっともっと水揚げ地で焼かれ四十物として出回る魚種は多いはずだ。

例えば兵庫県香住で焼かれているニギス。
島根県隠岐には焼いたサバを甘辛くたき(西日本なので)、
そばつゆに使う。
などなど我がデータベースにあるものだけでもかなりの量になる。

長浜の街にはちらほらと「焼きさば素麺」の文字があった。
食べてみるべきか悩んだ末にのれんをくぐるのをやめてしまう。
なぜならそこにあるものが、
家庭料理である基本形そのままとは思えないからだ。

自分で作ってみる気になったのは長浜よりもずっと北、
山間部にある下余呉の
「さばずし(なまなれずし)」で有名な
魚政の女将さんに作り方を教えてもらったからだ。

作り方は簡単。
焼きさばを適当に切り、酒、砂糖、しょうゆで甘辛く煮つけて、
焼きさばを取りだし、煮汁で固ゆでにした素麺を温め、つゆにからめる。
『つくってみよう滋賀の味』(滋賀の食文化研究会編 サンライズ出版)では
みりんも使うことになっているが、この方が焼き鯖の煮崩れを防げるように思える。

焼きさばは滋賀県のスーパーでは一店舗しか見かけなかった。
時期があるのかも知れない。
今回のものは鳥取県米子市の『丸綜』というメーカーのもの。
大津市琵琶湖大橋西詰めにあるIZUMIYAというスーパーで買い求めた。
この焼きさばの滋賀県での流通もちゃんと調べてみなければならない。

さて焼きさばを甘辛く煮て、焼きさばを取りだし、
煮汁を漉す、これに固ゆでにした素麺を絡めるだけなので
焼く30分くらいで作れる。
それにしては大皿に盛ると豪勢に見える。
しかも甘辛い煮汁を絡めた素麺が非常に美味。
煮た焼きさばの骨を除き、甘辛い身と素麺と煮汁をからめて
食べると、また非常に美味である。
簡単至極な料理でありながら、実にうまい、
というのが郷土料理の基本である、ということを実感する。

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このページは、管理人が2011年11月18日 22:43に書いたブログ記事です。

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