隠岐海士町『たじまや』のばちこ

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知り合いから島根県隠岐中ノ島海士町で作られた「ばちこ」をいただいた。
まことにいびつな洗練度の低い物で、触ると柔らかく厚みにもばらつきがある。
見た目は明らかに二級品でしかない。
「ばちこ」好きで年間を通してかなりの投資をしているつもりだが、
この見た目だけで買わないかも知れないな、なんてことも思う。
いただきものなので、値段は不明だが、
築地場内など全国から珍味が集まってくるので、
見た目から買いたたかれそうに思える。

「ばちこ」は別名、「このこ」ともいう。
マナマコの卵巣を干し上げたものだ。
普通は乾物であって、ある程度は常温保存がきく。
ところが、本品は要冷凍なのである。
明らかにこれは生ものではないか。
このようなものは産地である
瀬戸内海や能登半島では絶対に作らないだろう。

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このいびつで明らかに見た目二級品を
備長炭をおこし、小型の七輪で軽くあぶって食べてみた。
ここに大発見があった。
驚くべきことに能登半島などの超一級品よりも味がいいのだ。
普通の「ばちこ」にない香り、
ほどよい渋味を持った味の奥行き、
そして強い甘みがある。
これ「ばちこ」のニューウエーブではないか?
例えば、広島駅前の市場でナマコを買う。
するときれいにこのわた、このこを下処理してくれる。
この鮮度抜群のこのこを口に入れたときの
鮮烈さがこの「ばちこ」に残っているのだ。

このうますぎる「ばちこ」を口に含み、
近所で醸された特別純米酒をやっていたら、
この作り手に会っていることを思い出す。
かれこれ3年くらい前だろうか?
海士町にナマコの加工場が作られているところに出くわした。
一橋大学を出てUターンして海士町で
干しナマコ製造を始めようとしていた宮崎さんという青年。
そういえばあのとき半生のこのこをいただいて、
ボクは思わず「酒が欲しくなる味だ!」なんて叫んだのだった。

思い出すとともに見た目二級品などと
考えてしまったことを申し訳なく感じた。
「ばちこ」はいびつでも見た目が悪くても、
この『たじまや』の形でいいのだ。
近々隠岐に行くことになりそうだが、
この「ばちこ」だけは大枚叩いても買い占めてこよう。
酒は島後の「高正宗」にしよう。

たじまや 島根県隠岐郡海士町海士4625番地3
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このページは、管理人が2012年3月11日 01:33に書いたブログ記事です。

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