タコの「卵焼き」

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兵庫県明石市に卵焼き(明石焼きとも)というのがある。
タコ焼きのルーツのひとつで、見た目もタコ焼きではあるが、
粉の比率が低く、所謂「粉もん」という感じがしない。
が、タコが主役と言うことではタコ焼き以上。
この卵焼きを調べ始めるとメチャメチャ色々ありそうなのだが、
ここでは書かない。
肝心なことは、3月明石で非常にうまい卵焼きを食べた。
そのうまい卵焼きから得たものは多かったが、
最大の収穫は「タコと卵は出合いのもの(故辻嘉一はよく使った言葉)だ」
ということをしっかり頭にたたき込めたこと。

先日、『聞書き 兵庫の食事』を見ていたら、
明石の食事に「タコの卵焼き」というのがあって、
ようするに単に卵焼きにタコを入れただけの料理だった。
昭和30年代以前の食に関する話なので、
「卵はなかなか高価なもの」で、当然ごちそうだろうが、
漁村のおっかさんの作るものだから、
割烹料理店のするがごとく、
だしを使ったり、酒を入れたりしていない。

簡単なので作ってみた。
味を想像するに難くないが、
実は料理は必ず作ってみないとダメダメ、ダーメなのだよ。
卵は2個、タコは3月に明石で買った地物を冷凍保存していたもの。
他には塩少々とサラダ油だけ。

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準備することもなく、卵焼きにタコを巻き込んでいく。
出来上がりまでの時間は、あっと言う間の、
タコの解凍時間を含めての10分であった。

面白いことにタコを入れると、タコから水分が出て、
それが卵に混ざり合わさるのだけど、
まるで茶碗蒸しのような味わいになっている。
そのトロっとした部分にタコ足の食感と旨みが加わり、
卵焼きの表面はちゃんと香ばしいので、
非常に完成度の高い味というか、
想像以上の味わいが生み出された。

明石の旅での発見に「卵焼きにソース」というのがある。
一般に流布している「卵焼きにだし」という形は、
いろいろある食べ方のひとつでしかない。
実際、生粋の明石っ子は勝手放題、自分の好みで食べているわけだ。
ボクは四国徳島(山間部の貞光町)生まれなのだけど、
ソースと醤油の使用頻度は同じくらい。
全国的に見ると、たぶん「ふんだんにソースを使う地域」になるはず。
根っからのソース好きなので、迷わず中濃ソースをかける。
ちなみにボクが知る限りで、中濃ソースは関東だけのものじゃないかな?

朝、深夜の2回作って2回とも、箸が止まらなくなるくらいにうまい。
朝はごはんの友として、
深夜はノンアルコールビールをチェイサーにして
山梨県の地ウイスキーを飲んだのだけど、
このアテとして、横綱級の味わいであった。

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このページは、管理人が2012年5月 3日 11:57に書いたブログ記事です。

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