2013年7月9日
旧街道と同じ通り、駅に近い商店街の歩道に総菜屋さんの看板を見つけた。
「いものくき」に目が止まり、入ってみると狭いが市場のような空間だった。
そこには総菜の冷蔵ケースと広い厨房があって、うら若き女性(?)がにこやかに迎えてくれる。
ボクのようなあやしいオッサンには過ぎたる歓迎ムードである。
店の前に来ると、すぐ冷蔵ケースをあけてくれて、中を見せてくれた。
その種類の多さ、飾らない素朴な総菜類にうれしくなる。
こんな素朴で地域を感じる物(食べ物だけではない)こそが、その街の活性化につながると思う。
実を言うと日本各地で、県などのアドバイザーに有名なシェフや文化人をやとっていたりする。
たぶん地位のある方やお役人さんには、この愚かさをわからないのだろうけど、はっきりいってなんの意味もない。
地域の活性化というのは"有名人という無意味な存在"を連れてくるのではなく、その地域のよさや実力を発掘することから始まるのだ。
後日考えると、これが琵琶湖博物館を出て最初で、草津の街での唯一の収穫であった。
ニシン(身欠きニシン)の煮(た)いたのがあって、
そのニシンとナスの煮きあわせがある。
これは最初にニシンを煮き、その煮汁でナスを煮くのだという。
立て看板にあった、「いものくき」があり、「ずいきの酢の物」、「冬瓜の煮物」、「ぜいたく煮」などなど盛りだくさん。
「ぜいたく煮」はたくあん(こうこ)の古漬けを切り、塩出して煮たものだ。
「卵焼き」に、「酢のもの」、「鶏の肝を甘辛く煮いたもの」などもある。
徳島の山の中でくらしていた子供の頃、この「鶏の肝の煮いたもの」が大好きだった。
そしてなんといっても「エビ豆」が琵琶湖を臨む街らしいではないか。
「エビ豆」は水飴を使わず、あっさり仕上げているように見える。
湖魚の専門店でもお馴染みのものだが、往々にして水飴がエビや大豆の風味を台無しにしていることが多いのである。
店を切り盛りしているのはふたりの女性。
料理の説明がわかりやすく、調理しているのはご両親だとのことだが、味に誇りを持っていることが言葉の端々に感じられる。
おふたりは、おいくつなのだろうか? なかなか美人であるし元気いっぱいで魅力的である。
できましたら、ご両親の調理法をしっかり受け継いでいただきたい。
旅の途中なので買い込むわけにもいかず、
送ってもらうことにして、いろいろ話し込んでいると、出てきました。
期待していたのである、この瞬間を。あり得ないと思いつつも密かに、密かに。
「酢ごぼう」だの、「えび豆」だのいろいろ盛り合わせての試食タイム。
ご飯までいただいて、これって間違いなく試食の域を超えてる。
おかずのうまさは、見た目以上である。
素朴で優しい味である。
その上、滋賀県のお米を炊いているという、ごはんが、またうまい。
お代わりしたくなるが、さすがにそこまではお願いできない。
これがまことに心残りだ。
さて、店の名を「味芳」という。
地元の方々には知る人ぞ知る店であるようだ。
後日の注文用にいただいた「サービスカード」のデザインがまたいいのである。
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