市場人の歴史: 2007年5月アーカイブ

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 市場に通うプロにはいろんな業種がある。大はスーパーから、魚屋、ホテル、旅館、料理店、居酒屋など。このなかで料理に携わる人みな市場に通っていると思っていないだろうか? 例えば板前や寿司職人たちなど。でもその中に一度も市場に来ることなく「仕入れ」などの経験を持たない人もいるのである。そして最近ではそれが珍しいことではない。電話一本で市場の業者が配達してくれる。また仕入れを代行する業者も多く、怠け者の料理人の仕入れはファックス一本で終了となる。
 そんな現在にあって、こまめに市場に足を運ぶ料理人は「珍しい」とも言えそうである。ただし、それだけ料理や水産物に情熱を注いでいるわけで、そのような料理人は見ていて、話してみて魅力的なのである。ぼうずコンニャクは市場で働く人たちとともに彼らを“市場人”と呼ぶ。

 八王子の市場で見かける「市場人」のなかでも、もっともこまめに、そして丁寧な仕入れをしているのが、やっちゃんである。季節季節に、いいものだけを少量ずつ持って帰っている。一本のマサバに悩みに悩んでいる姿を見かけたこともある。初めて見る魚、貝の名をときどき尋ねに来る。
 この日も、八王子綜合卸売センター『高野水産』でマアジ、イサキ、トビウオ、ホウボウ、生ホタルイカ、スルメイカ、真つぶ(エゾボラ)など、やっちゃんの仕入れ用発泡スチロールの箱はモザイクのようになっている。
 発泡の中を覗いて首をひねりながら、八王子総合卸売協同組合『丸幸水産』に回る。そこで殻トリガイを選んでいる。いったい何種類の魚を仕入れたことやら。

 やっちゃんは40代前半、その料理は手軽な値段設定の居酒屋ながら繊細で美しい、そしてうまい。また客に対して正直であるのもいい。
 ついでに奥さんは美人だし、義妹はプロレスラーである。
 幸せ一杯の、やっちゃんのおのろけを聞きながら、八王子の盛り場でいっぱいやるのは、五十路男のボクには楽しいものだ。また行こうかな! 『居酒屋やっちゃん』。

やっちゃん 東京都八王子市南町3-17


ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/

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