寒い時期になると変身するがのごとくうまくなる魚がいる。メジナもそのひとつ。メジナは子供の頃には岸辺の港回りなどに群れていて貪欲にエサを追う。これがために子供達のよき遊び相手だ。また伊豆などでは旅館の泊まり客が浴衣で釣りを楽しんでいる。これなど旅館のサービスなのだろうか。あるとき曾我廻家明蝶そっくりの初老の方がメジナを釣り上げて、「まあ、こんなに黒い、ちっさい魚が釣れましたがいな」なんて言っている。これは伊豆は稲取の防波堤でのこと。この光景になんだかしみじみ詩情を感じたものだ。
そんなメジナであるが、夏でも食べられるには、食べられるが独特のクセがある。また臭いがなくても、けっしてうまいものではないのだ。それがどうだろう。磯などで竿を振るのさえ寒くて辛いような日のメジナは苦労を購うだけの味わいなのだ。刺身にして身は白濁しているのだけど、これは脂。これに磯臭さが微かにあるものの、これも風味と思えるほどに心地よい。やはりメジナは寒に食うのがいいのだ。
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