日本橋散髪のついでに

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 もうかれこれ20年以上、床屋は日本橋室町に通っている。どうしてか? それは安くて早くて、居心地のいい床屋だからだ。我が街、神保町から日本橋はすぐそこ。無駄歩きとまでは行かないが、ほんの少しお散歩気分になれる。

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 年明けの5日、都心まで来たとはいいながら、まだまだ仕事があるわけもなく、ほんのわずかな雑事をこなして、すぐに神保町に渡る。これがアリ地獄のごとく罠の多い誘惑街なのだから、はまるわけには行かない。それで靖国通りを地下鉄に急ぐのだが、神保町に踏み入れた途端、『慶文堂』でつかまってしまった。大阪道修町の資料を見つけ、ついでに佐渡の民俗の本。これで2700円なり。無難な大雲堂で800円なり。もう3500円が消えてしまって、地下鉄を降りたときには後悔しきり。

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 半蔵門線三越前に出て、気になっていたことを確かめる。それは日本橋で一番好きな場所が見あたらないのだ。場所というのも変だが、銀座線三越前駅の神田寄りに不思議な出口があり、それが迷路のような、またそこだけが昭和大正の趣にあふれた異空間なのだ。いつも急ぎ足なので素通りしてしまっていたが、やはりない。そのあたりは、なぜか通路が奥まで広がり、なんだかやたら明るい。しかもこんなところにam-pmが出来てしまっているのだ。あの古めかしい、昔の銀行に迷い込んだような出口は跡形もない。「お〜い、どうしたんだ、我が日本橋は?」。
 仕方なく地上にでると、どうして彼の空間が失われたのか、一発でわかる。まるで不細工なデカイだけの今風の高層ビルがそこに建っているのだ。

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バカ野郎な建物。こんなもの作るヤツは嫌いだ

 トントンと床屋の階段を下りて、2400円なりで整髪。今日は耳のご不自由な方に丁寧に無精ヒゲまで剃っていただいて寒空の日本橋方面に歩く。
 新年でイルミネーションがやたらに似合う三越本店。その斜め横に「越後屋」というとってつけたような建物がある。入ってみると天井ばかり高くてなんにもない。なんだこれは、バカやろうとすぐに飛び出してくる。中にはお土産らしいものがほんの少し並んでいるだけ、これが高い。そしてレストランもあるがこんなところで食えるかという居心地悪そうな店。この空間もったいない。落語家の垂れ幕があるくらいだから、落語でも聞かせてくれるのだろうか。毎日、ずーと落語をやってくれないかな。それならいいぞ、ここ。

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越後屋の内部。なかはがら〜んとしており、つまらない

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意外に面白いのが三越本店。また、この本館は美しい

 裏路地に入って、懐が寂しいので立ち食いそば。この『吉そば』いい味である。乾物の『八木長』を超えて日本橋を渡る。この高速道路をどける計画があるというが、はやくどけてくれ。まったくこんな無粋なモノ作ったのは誰じゃ。渡って『栄太楼』の前を通り、八重洲口北口にいたる。このところ東京駅は工事ばかりしている。北口は工事現場そのもので鉄の塀沿いに構内に入る。自動改札口を出ると無駄歩きは終わりなのだ。


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このページは、管理人が2006年1月 6日 23:24に書いたブログ記事です。

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