冬が旬『ニギスの干物』

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 高知県は黒潮を弓形に取り込むようにして太平洋に臨んでいる。その高知市、土佐湾の底引き網であがった魚を、御畳瀬(みませ)港に水揚げする。この水揚げされたばかりの魚をすぐに港で干物に、これぞ土佐湾きっての名物となっているのだ。
 干物の原料はウルメイワシやにろぎ(オキヒイラギ)もあるが、当地ならではというのが深海の魚。この港に吹いてくる土佐湾からの冬の季節風がうまい干物をつくりだし、土佐の飲み助を楽しませている。
 その底引きの魚も数々あれど、冬にうまいのが小振りのニギスである。高知では「沖うるめ」、これまた土佐を代表するウルメイワシに勝るとも劣らない魚という意味合である。どちらが好きかは、ちょっと難しいな。やや甘口の酒にはウルメイワシ、辛口の酒にはニギスと我が家では肴にして使い分けている。日本酒好きなら、これだけでもだいたい察しがつくと思うが、ニギスの味わい風味はどこか淡いのである。淡いのだけれどむしくって噛みしめるほどに脂がジワリと来て、この脂が渋みを帯びて甘い、甘い上にスルメのような旨味、そして風味がくるのだからたまらない。
 季語としては干物の旬が四国などでは冬であるから、これだけでも一季語となる。それに加えてニギスも冬の季語としたいと思う。土佐の辛口の酒を熱燗にして沖うるめをむしり食うのだ。

噛みしめて 御畳瀬に吹く風 沖うるめ(秋野一人)

nigisuhi.jpg

市場魚貝類図鑑、ニギスのページへは
http://www.zukan-bouz.com/fish/nigisu/nigisu.html
ニギスなど土佐湾の干物は土佐の廣丸
http://www.zukan-bouz.com/zkan/hiromaru/index.html


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このページは、管理人が2006年1月18日 14:26に書いたブログ記事です。

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