金曜日の市場で魚屋のオヤジと立ち話、目の前にあったのが北海道産のアサリである。この色合いの違いに魚屋のオヤジは「(本州のとは)別種だろ」と疑問に感じているのだ。
確かに木更津などから来るアサリは白や青色で模様がくっきりしている。これがアサリの概念の基本かも知れなくて、それからするに北海物はまったく違っている。全体にサンドベージュ(砂色)もしくは白泥色、やや赤身がかったり、まったく白であったり。模様は微かに筋が入る程度である。また何よりも貝殻が厚いのは魚屋などの嫌う所以である。
これは本州のアサリよりも遙かに北海道の方が成長が遅い。そのためにやや貝殻が硬くなる。また東京湾、浜名湖では春と秋に産卵期があるのに北海道産は夏に一回だけ産卵が行われる。このために当然旬(北海道産のアサリの旬に関してはまだ把握していない)も違ってくるし、市場での評価も賛否両論となるのだ。
北海道での産地は主に釧路、厚岸、根室あたり。箱には大まかに「道東産」と書かれていることが多い。かなり大型のものが入ってくることがあり、これがために北海道ではアサリがよく成長するのだと思いこんでいるようだがまったくの見当違い。実際にこのところあまり大型のものは見かけない。
味わいは他の産地と変わらない。貝殻が重い、また出汁がでないという評価もあるが、そんなに気にすることもないだろう。個人的にはこの灰色のアサリは大好きである。
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