毎日のように『市場寿司 たか』に顔を出して、寿司ネタとはなんぞや? を考えている。目の前でさばいているのは和歌山県湯浅町『福井鮮魚店』からきたウミヒゴイとホウセキハタ。
「ウミヒゴイってのは困った名前だわね。これじゃ食う気がしないだろう」
「三重では“めんどり”なんていうし、“おじさん”てのも使えるかな]
これはウミヒゴイのあまりの美味になんとかお客に食べて欲しいと思い、そしてお客への説明の仕方を考えているのだ。
それでお客にはヒメジにするか、「おじさん」「めんどり」? なにも決まらないままに店を後にする。たかさん「ホウセキハタはそう言えばハタだな」なんて独り言を言っている。
毎回、魚を持ち込んでまず、東京じゃ食べられない魚をお客にも出している。それでもなかなか目新しい寿司ネタを聞いてくれない。注文してくれないのが目下、『市場寿司 たか』の悩みである。
この時期から初夏まではホウボウなんて毎日のように仕入れても注文する人は数人。結局名物「豪海投げ込み丼』というちらしに入って仕舞うことになる。握ってこそじっくりその魚の味わいが楽しめるのだ。残念で仕方がない。
でも、お客が好みで寿司を頼めないのにはわけがあるように思う。それは一般の寿司屋の料金システムだ。昨年のこと八王子で評判だという店にお昼の握り1800円(ランチで安いということ)を食べに言った。それが二人前。そして家人が小鰭を追加注文したら支払が5000円を超えてしまったのだ。すると小鰭(こはだ)2かんが1000円以上ということになる。お昼だし、すし飯は明らかに昨夜のものであった。
思わず、家人に
「握りを食べた時点で追加はやめるべきだったね」
と言ったのが大失敗。以後長く天災に見舞われてしまった。家人も握りの味わいの平凡であること、すし飯が新しくないことはわかっていたようだ。それでも食べたかった小鰭である。
こんなことがあると絶対に寿司屋で冒険が出来なくなる。非常に明朗会計。あまりの安さにお客が「大丈夫ですか?」と聞き返してくるほどの『市場寿司 たか』ですら、なかなかお好みでの注文はしてくれないのだ。ちなみにすし飯を翌日に持ち越すことはない。
寿司屋はその日の仕入れた魚を聞いて欲しいと思っている(思ってない寿司屋もいるが)。よろしかったら『市場寿司 たか』でお好みで数かん注文してもらいたい。すると、たかさんも仕入れがもっと楽しくなるのだ。
『市場寿司 たか』とともに作る寿司図鑑へはここから
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八王子の市場に関しては
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blogも毎日楽しみに読んでいます。
食べたことのない魚、その季節の魚をリーズナブルな値段で食べさせてくれる「たか」さんみたいなところは私からすれば理想のお店なんですけどね。
そういうお寿司やさんは近所にはなく・・・。八王子が遠いのが残念でたまりません。うらやましい限りです。