愛知名古屋でお土産を探す。一昔前までは青柳のういろうに決まっていたように記憶する。これは子供の頃の記憶で緑や赤の青柳のういろうを見ると名古屋の叔母を思い出す。それがどうだろう、今や名古屋駅でもっとも目立つのが坂角総本舗の「ゆかり」である。我が家でも妻の母からして新宿のデパートで週に一度は「ゆかり」を買っていてお茶でもビールでも、この少々高価なえびせんを飽食してやまないのだ。
それを引き継いだのが我が妻。贅沢だけど、といいながらときどき買って帰ってくる。そんなときのこと愛知県三河湾一色に縁あってときどき行くようになった。そこでいろいろお世話になっているのが毎味水産である。一色と言えばクルマエビからヨシエビ、サルエビからクルマエビ科アカエビ属の小えびまで様々なエビがとれる。そのなかで小さな赤いエビ、また小エビ自体を「あかしゃえび」と言う。
初めて毎味水産を訪ねた折り、この「あかしゃえび」を加工する工場を見せてもらった。それが気の遠くなるような量の「あかしゃえび」を地元のエビを扱い慣れた人たちが頭を取り去っている。藤井社長をして
「そのまま食べてみな、鮮度はぜったいに間違いないから」
というだけあって「あかしゃえび」の身がプリプリしている。
「これが坂角に行くの。ゆかりって知ってるだろ。あれはね、こんなに凄いエビを使っとるだからね。ほかじゃ真似できんわけ」
確かに全世界からエビは輸入されていて、その輸入もとでもある毎味水産に、こんな三河湾ならではの工場があるとは思いも寄らなかった。
すなわち『坂角総本舗』の「ゆかり」は「三河湾 あかしゃえび」→一色「毎味水産」→東海市「坂角総本舗」という流れなくしては作れないのだ。
さて、えびせんを語るとき一色ならではのえびせんを作る「手焼きせんべい 味の老舗 青山」がある。出来れば坂角総本舗の「ゆかり」と食べ比べて欲しい。坂角総本舗の「ゆかり」の味わいの第一はずば抜けた香ばしさにある。青山のものは香ばしさにはやや欠けるが旨味が強く、ともに非常に美味である。それぞれの味わいにエビの別の持ち味を感じられる。そしてエビの国、三河の姿の一端が見えてくるはずだ。
坂角総本舗
http://www.bankaku.co.jp/
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
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