東京では「石持ち」シログチ

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 関東では「石持(いしもち)」と言った方がわかりやすいシログチ。東京湾でも人気の釣り魚、また食用魚としても馴染みが深い。これが旬を向かえる。例えば鮮度さえよければ刺身で絶品。とうぜん塩焼き用の魚として有名であるだけに、火を通したときの白身の繊維質の滑らかな味わいも特筆すべきものだ。
 ただ、このシログチというのは水分が多く、身の劣化が早い。よほど近い産地のものでなければ刺身は無理、ときに塩焼きにしても生臭いものがある。
 そんなとき広島県倉橋島、「日美丸」さんから届いたシログチの素晴らしいこと。『市場寿司 たか』に持ち込んだら、さっそく寿司職人の渡辺隆之さんが三枚に卸して刺身にしてくれた。そして当然握りに。
「脂はないけど、刺身でうまいね。これは旨味があるからだな。これお客に出すのはよして持って帰ろうかな、うちの孫は魚が好きなのよ」
 こちらも酒でも飲みたい気分になって、それを辛抱して帰宅した。そして残りのシログチを水洗い、塩をして一晩置いて、考えた。そして思い出したのが韓国食材店で聞いたシログチの干物の食べ方。在日韓国人のオモニが言うに、
「干物はフライパンに油を引いて焼いてもうまいのよ。焼き上がったらゴマ油をたらして、これはご飯にも合うの」
 これを鮮魚のシログチでもやってみた。すなわちフレンチのポワレを作るように弱火で焼き上げ、食べる直前にゴマ油をふる。丁寧に焼いたつもりがまだ表面に水分が多いのか、皮が剥がれてしまった。ちょっと見た目は悪いが、食卓にのせるや家人が夢中で箸を伸ばす。これはうまい。香辛料もなんにもなく、焼いてゴマ油をかけただけなのに塩味とシログチの旨味、そして絹のように滑らかな身質にゴマ油、これが渾然一体となってうまいのなんのって。やめられなくなってもう一枚。これは間違いなく我が家の定番料理になる。

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市場魚貝類図鑑のシログチへ
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●広島県倉橋島「日美丸」のページへ
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このページは、管理人が2006年4月30日 18:22に書いたブログ記事です。

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