つぶ学事始め 08 灯台つぶ番外編 サガミバイ

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 さて、北国でよく見かける灯台つぶに関してまとめてきたが、この仲間は銚子を回って、東京湾、相模湾、駿河湾に南下しても棲息している。「灯台つぶ」、ヒモマキバイグループの巻き貝は北はオオカラフトバイ、ヒモマキバイ、クビレバイときて太平洋を南に下がるにしたがって一番下の巻き(層)に丸みをおびてくる。この丸みをおびたのをシライトマキバイという。そして南限である銚子などに上がる、シライトマキバイなどはその典型的なもの。これが相模湾、駿河湾にくるとこの最下層の部分がもっと丸くなり、これをスルガバイというのだけれど、これを銚子にあがるシライトマキバイで丸みの強いものと区別するのは至難である。そのスルガバイにまで南下する前に忘れては行けないのが東京湾に多いサガミバイだ。
 これは東京湾、駿河湾の水深200〜300メートル前後に棲息している小振りの巻き貝。東京湾、相模湾でのエビカゴ漁などに入る。あまり多くとれるものではなく、まあどちらかというと貝収集の対象とされることが多い。
 この小振りのサガミバイ、味がよく北国の灯台つぶに決してひけをとるものではない。ほとんど望み薄だがもしもコンスタントな漁獲さえあれば、東京湾の幸がひとつ増えることになる。ただし貝マニアは珍しいと思っていた貝が、食卓に上ることになったらがっかりするだろう。

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コメント(4)

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 たまたま見に来たんですが、これ、今はもう激減しているそうですよ。深海の船方さんが言っていました。ここには深海の船方さんは出入りできないらしいですから代弁しておきます。
 東京海底谷での深海篭漁業は今大変なことになっています。これからますます深刻な問題を抱えることでしょう。安易に水産物が沢山採れると書かれるといろいろな方に思わぬ影響がありますので、ご留意のほどを。

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銚子の貝人さん、彼は出入りできないのではなく、結局彼は自分で人との繋がりを拒否しているんんではないでしょうか? そう思いませんか?
また確かに東京湾だけではなく生産性に乏しい深海の生物というのは管理が難しいですね。でも自然保護というのは、そこで生きていく漁師さんとともにあるものかも知れません。サガミバイももし水揚げされたら、彼らの生活の潤いの一部にすべきです。ただし管理に問題があるのなら、しっかりここでお教え願いたいですね。

はじめまして。貝収集が趣味のプレオドリオです。記事読みました。サガミバイ・・・・・・・・私にとっては本当に欲しいなぁって標本ですから、食卓にのったらまじ嬉し泣きして味が旨いどころじゃあないでしょうね(笑)でも貝人さんの言うように激減したら、普通に泣きます(収集家とは別の立場で) それから私のブログでは夏休み中、"2006World Shellsえきすぽ"を開催する予定です。興味のある方はぜひお越しください。
 失礼します。

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プレオドリオさん、初めまして。さて、サガミバイも貴重なんでしょうね。私はどちらかというと漁師さんの考え方に近いので貝に特別な興味はないんです。ただ、造形が面白いのと、なかなか種までたどり着けないので、そんなことを専門家に聞くのは楽しいですね。

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このページは、管理人が2006年6月12日 16:00に書いたブログ記事です。

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