八王子魚市場、入って目に飛び込んできたのが熊本産ハマグリ。これが見た目にハマグリ【北海道南部から九州の内湾干潟などに棲息】には思えず、むしろシナハマグリ【朝鮮半島西部から中国大陸】と思えそうな代物。
そこに鈴木さんがやって来て
「これなに」
これがコタマガイ【北海道南部から九州、朝鮮半島。どちらかというと砂地に棲息。波打ち際などにいる】。石川県産であるという。昨日は八王子総合卸売協同組合「丸幸水産」でも見ているのが、この貝は突然湧くらしいのでこれからの入荷が楽しみ。
坂本君とサンマの話。
「今年は脂がないっていうけど、刺身で食べてうまいっすね」
「そうだね。7月のサンマは焼くより刺身じゃなかな」
考えてみると佐藤春夫の「秋刀魚の歌」は秋の日のこと。北海道から南下して脂がなくなって和歌山県新宮市あたりでとれたもの。これなど脂が抜けたサンマで作られる千葉県の干物、白干しと同じものだろう。サンマを食べるに「脂、脂」と言うのもおかしいのかも知れない。「7月のサンマは刺身がうまい」と考えるといい。
『源七』にまわると八王子の善さん(八王子の『魚善」)がしきりに淡路島からきた小振りのマアジを見ている。これがキロ/1800円と高い。
「小さくても一本100円はするぞ。一本買ってけ」
あんちゃんが言う。
「これ小さいけど脂がのってるんだよね」
善さんの濃い眉毛が思案に暮れて上下している。善さんのところは養殖魚を使わないので、仕入れる魚はいつも魚屋としてはワンランク上のもの。「仕入れたいな」と思っているようだ。
そんなバカバカしい話をよそにウナギの串打ちが行われている。土用丑の日が近いのだ。
八王子総合卸売協同組合『丸幸水産』に寄るといきなりクマゴロウが
「カツオ半身持ってかない、持っていくよね」
とタダでさえ恐い顔でにらみつける。
「600円でいいよ」
仕方ないので持って帰る。消費税はオマケしてくれる。一応「ありがと」。
八王子綜合卸売センター『高野水産』、『総市』にはサンマサンマ、そして大量のカツオ。八百屋の『ビックリ屋』で大安売りのミョウガをどさっと買う。
帰り際に、あっちゃんから呼び止められて「見て見て」というので段ボールをのぞき込むと白黒の可愛らしい子猫たち。優しいあっちゃん、子猫を拾ってきては飼い主を探しているのだ。
●ここで突然であるが猫が欲しい人は八王子綜合卸売センター『ビックリ屋』の、あっちゃんまで
ぼうずコンニャクの市場魚貝類図鑑へ
http://www.zukan-bouz.com/
真つぶ(エゾボラ)の刺身 後の記事 »
金土とまとめまして市場便り